政府短期証券の怪---シリーズ:いくつかの数字(3)
まず政府短期証券に関する一般的な説明は、こちら。→■初回から紹介した総額における推移の表でも外国為替資金証券(外為券)が、ほぼそのまま政府短期証券の発行額(残高)として表示されていたので、その実態を一つずつ見ていきましょう。まずは、外為券がどれくらい発行されたにしろ、実際の為替介入にはどれくらいのお金がこの5年間で使われたのか、です。平成12年度計 3兆1732億円平成13年度計 3兆2107億円平成14年度計 4兆162億円平成15年度計 20兆4250億円平成16年度計 14兆8314億円 小計 45兆6565億円(ソース:http://www.mof.go.jp/feio/034_133.htmから各期間を累計)(平成17年度は1-3月期で0円。アメリカが為替操作に対して厳しくなっている事からも、おそらく0円のままでいく可能性が高いと思われます。相当の変動が無い限り)さて、今度は、その期間にどれくらいの外為券が発行されたか見てみましょう。同じ財務省でも資料によって数字が違うので、列挙していきます。(ソース1:http://www.mof.go.jp/1c020.htm)平成12年度計 441,930平成13年度計 476,388平成14年度計 496,034平成15年度計 574,864平成16年度計 861,259 小計 2,850,475この場合でも、285兆対45兆で、残りの240兆は、あれれ?、となるわけです。(ソース2:http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/siryou/zandaka02.pdf)平成12年度計 448,395平成13年度計 496,034平成14年度計 574,864平成15年度計 861,259平成16年度計 1,067,031平成17年度予定 1,420,568 小計 4,868,151この場合だと、486兆対45兆で、残りの440兆は、あれれれ?、となります。しかーし!まだ極め付きが残っていたりします。笑次に、募入決定額の年間総額を見てみましょう。数字は単純にここの各年度のを合計しました。(応募額とか見てみると、きっと驚けますよ。ウヒヒ)平成12年度計 1,796,937平成13年度計 1,782,810平成14年度計 1,692,832平成15年度計 2,125,205平成16年度計 2,690,643合計 10,088,427え、単位が良く分からない?私も我が目を疑いました。だって、1000兆円ですよ?wwwいや、そりゃ確かに順繰りに回してるお金であって単純な借金の総額とはもちろん違いますが、年に180兆~270兆もの、『返さなくてはいけないお金』を政府は借りてきているのです。最近では、ゼロ金利で発行されるものが頻発してますが、それにしても、使ってそのまま知らぬふりをできるお金ではありません。例えば、4兆円貸してあげるけど、13週間後に4兆円(もしくは500-1000万円程度の利子付で)返してね、と言われても、個人金融業者ならともかく、ほとんどの人は借りたものをそのまま返すのが精一杯かと思います。では、何のために、政府はそんな真似をしてるんでしょうか?答えは簡単です。借金で首が回らない状態になってきているからです。年100兆も借款債を発行してても、まだ追いつかないからです。(ちなみに財務省が公表してる償還計画は無視して良いです。政府(財務省)は借款債にすれば債務は消失すると言っていますが、ならなぜ880兆も積みあがったのか、ぜひ説明してもらいたい所です。ここら辺も、政府は嘘の答弁を止めるべきですね。)最後に、同期間の借款債の発行額を並べてみる事にしましょう。(ソース)平成12年度計 532,697平成13年度計 593,296平成14年度計 696,156平成15年度計 749,678平成16年度計 844,507平成17年度予定 1,038,151合計 4,454,485まぁ、偶然の一致でしょうが、先ほどの財務省の統計の一つの為替介入のために使われた政府短期証券の残額440兆ほどと近い数字にはなってます。(実際には借款債の大半は新規財源債や赤字(特例)国債と混ぜて新規発行され直されるので、偶然の一致としました)しかし、実際問題として、長期国債引受には日銀券発行分までとしている日銀が、この借款用の政府短期証券を引き受けて、そのラインを超えてしまっているのです。その先にあるものは、必要と思われれば必要なだけ、日銀がどんどん政府短期証券を引き受けていくという状態です。(実際にはもう起こっているのですがね・・・。)そこら辺を次回触れていこうと思います。<参考記事>・金融論茶話拾遺 263 日銀の国債引受け