小沢の敗因とインターネット調査の誤謬性
支持率の低さ。それが最大の敗因です。票をもたらすのは小沢ではありません。票を投じる人々なのです。どちらに政治家は顔を向けるべきなのかを、これ以上無いくらいに明示した投票結果でした。国会議員 412対400地方議員 60対40民主党員 249対51計 721対491支持率の低さをもたらしたのは、小沢支持者が言うような、マスコミの情報操作や検察の国策捜査や票を投じた人々が格別に愚かだったからでもありません。今回、どのマスコミも慎重でした。何せ直接には民主党員に世論調査を行う事は不可能だったのですから。民主党員は一般の人々よりも政治に関心が高いとか、小沢支持だとか、マスコミには騙されないとか、投票前にはいろいろ言う方々がいらっしゃった。国会議員票こそイーブンという見地が多かったが、結果は小沢側が負けました。日刊ゲンダイ的見地の完敗です。そして一般の世論調査の結果以上に、民主党員は小沢にNoを突きつけました。なにせ全体の17%しか小沢にYesと言わなかったのだから。(もしドント方式でなく比例配分だったとしても、61対39の比率。この差の扱いについては後述)206人対200人の国会議員票の結果と、249対51の民主党員の結果の、どちらを国会議員達が重視するかと言えば、当然後者となります。当たり前ですよね。民主党に最も投じてくれると思われる人々の意思がそこには顕れているのだから。小沢やその支持者がどう騒ごうが、この圧倒的な差の持つ意味は大きいのです。票を自分に投じてくれるのは落ち目の元幹事長ではなく、有権者であり自分の支持者達なのですから。小沢支持率の低さをもたらしたのは、小沢という人間に対する信頼度の低さです。政治家は状況に応じて言説を曲げねばならないとも言われる事はあります。ただし、その節操の無さと妥当性の低さは、単にその人の言動の信頼性を低下させていきます。政権交代すれば財源は出てくる。出てきませんでしたね?最低でも県外。出来ませんでしたよね?日米関係は日中関係より大事。大量の議員を引き連れて訪問したのはどこでしたっけ?(日経のレベルもこの程度)何よりも、彼の言動が過去の彼の言動を裏切っているのです。マスコミの偏向報道云々は全く関係ありません。例えば、彼は在日外国人の参政権に賛成していますが、彼が外国人に敬意を払っているかと言えば、全く払っていません。断言できます。彼は外国人を尊敬などしていません。「アメリカ人は単細胞」こんな台詞を言う人物を、日本の首相にしようとした取り巻き達を、どうしてアメリカ人は敬意と共に受け入れられるでしょうか。「キリスト教は独善で排他的。イスラム教はまだマシ」こんな台詞を言う人物が、どうして外国人を、彼らが何よりも大切にしている対象に敬意を払っていると言えるのでしょうか?こんな人物を推した言論家、特に政治学者の看板を掲げる人々は、等しく筆を折るべきでしょう。繰り返します。アホくさすぎます。小沢という人物も、小沢という人物を推した人々も。インターネット意識調査についても言及しておきます。彼らに突きつけられた課題は、死活問題と言えます。その信頼性は究極まで失墜しました。例えば日刊ゲンダイなどは、街頭演説での小沢コールをもって、実際には小沢支持が広まっていると打ち出したりしていました。でも、結果は違いましたよね?例えば、小沢支持者のサクラが街頭演説に追従して声を上げていたとしたら?確証はありませんが、それくらいしか今回の各種インターネット調査の偏りを説明できるものは無いと私は感じています。同一投稿者の選別と、その連続投稿の排除。その担保をしない限り、再びインターネット世論(意識)調査の看板を掲げるべきでないでしょう。もしそういった技術的措置を講じていてなお今回の結果と大幅な食い違いを見せていたのであれば、そのインターネット調査に投じる人々は、世間一般からはかけ離れた意識を持つ人々の集団であり、世間一般で成される意思決定の結果の予測に使える調査結果ではないと証明した事になります。(ニコ動とか特にそうかも知れませんね)最後に、今後の菅政権ですが、小沢派を懐柔する必要はほとんどありません。すればするほどに支持率は下がるでしょうから。世間一般どころか民主党員の間でもどれくらい小沢が不人気か思い知らされた後ですからね。さし当たっては、普天間移設問題が固定化につながらないよう現地と米国の橋渡しをする作業と、中国への対応だけで精一杯でしょう。小沢は、財務大臣か副大臣辺りがおもしろいかと思いますがね。山岡とか輿石辺りは、当然、要職から追放が妥当です。国家戦略局(室)長という要職とかもお茶目なジョークかも知れませんが、御当人や小沢派が何か勘違いするといけませんので、あまりお勧めできません。幹事長を身内から選考し直すなら、渡辺恒三とかがいいかも知れません。とりあえず、過去の鳩山政権よりはマシになるよう祈って止みません。が、民主党員や民主地方議員の皆さんが、民主国会議員よりマシな判断を下した事に、日刊ゲンダイ的モノノ見地が敗北した事に、安堵した一日ではありました。やれやれ。小沢チルドレンとされてた新人議員のおそらく過半が菅に投票したらしいのですが、その分他の2期以上の議員達が小沢に肩入れしてたとすると、差し引き感情としてどうなんだかという部分もありますが、それは今後考えていく事になるでしょう。菅政権が続かなかったとしても、小沢を表舞台から決定的に遠ざけた一幕の主演であった事が、彼の功績の第一として数えられるかも知れません。次は前原とか岡田辺りかな。両方とも、重責です。おまけ。ドント方式と比例配分方式の差に関して。時事の記事によると、総投票数:228,192票菅:137,998票小沢:90,194票その比率はほぼ6対4であり、ドント方式の選挙結果の8対2以上の差の印象からはかなり外れます。小沢も一定期間民主党代表だったのだし、その後も党の要職にいたのだから、この方式を敗因に求める事は不適当です。また、過半数以上の国会議員が戦うのは、小選挙区制であり、多くの場合、僅差であっても勝者が全てを得る。この厳しさを誰よりも知っているのは、本来は国会議員達です。実際の票差などから、楽観視は出来ないと菅陣営が気を引き締めるのは妥当な行為だろうけれども、この比例配分した場合の票差でもってポストを要求するような行為は妥当では有りません。各小選挙区毎の投票結果はこちら。かんべえさんの解説は2010年9月14日の日記から転載。『○面白いのは、国会議員票ではほぼイーブンなのに、300小選挙区はほぼ5対1になってしまったこと。それぞれの小選挙区を代表する議員としては、「自分の後援者と意見が合わなかった」人が相当数居る、ということです。○たとえば鳩山さんは小沢さんを支持したはずですが、北海道の選挙区で小沢さんが上回ったのは、松木謙公氏の選挙区だけ。原口さんや細野さんといった若手の小沢派議員も、自分の選挙区は菅さんに行っている。普通だったら「真面目にやらんかい」と顰蹙を買いそうなことですが、たぶん当人たちはさほど気にしないことでしょう。あと2年くらいたてば、「トロイカ」は一丁上がりになるだろうから、それまで待ってりゃいいや、てな感じなんじゃないでしょうか。』インターネット意識調査にしても、小沢6割以上、菅4割未満としていた結果はどちらにしても外している事になります。むしろ一般のメディアが伝えていた菅優勢の報道の方がよほど正確だったと言えます。(これはむしろ皮肉?)新聞やテレビという媒体を持つメジャーなメディア主体でインターネット上でも情報公開をしてない所はほぼ無いでしょう。その見地においても、今回のインターネット意識調査の大外しは、他山の石で終わらせてはいけない教訓になる事と思います。おまけのおまけ。予測市場はどうだったのでしょうか?1 100ポイント以上の差で菅直人勝利 2.8 倍 9,598 pt 配当!2 100ポイント未満の差で菅直人勝利 2.1 倍 12,374 pt 3 100ポイント未満の差で小沢一郎勝利 2.6 倍 10,194 pt 4 100ポイント以上の差で小沢一郎勝利 4.3 倍 6,224 pt 5 その他(投票の中止など) 66.4 倍 409 pt 菅勝利予測:21,972(全体の56%)小沢勝利予測:16,418(全体の42%)総数:38,799イイ線行ってると言えますね。十分に。他のインターネット意識調査との差は、たぶん、技術的インフラ整備の差じゃないかと予測します。ではまた。にほんブログ村