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映像四郎の百人斬り

映像四郎の百人斬り

「新宿、超能力な女」

「新宿、超能力な女」



 ぽかぽかして、いい陽気だなぁと、新宿を、

 お散歩し、本屋で、本など買い、

 てくてくと、歩いていたら、

 気づくと、周りは、陽が落ちて、

 すでに、夜なのだったが、

 新宿東口の地上で、あやしい人影を発見。

 地下に降りる階段があるところで、

 傍目には、よくわからないが、

 そこだけ、時間が、一瞬とまってるのであった。

 「!?」

 奇妙な、疑問符が、私の脳裏をかすめ、

 その違和感を、確認すべく、タバコに火をつけて、

 待ち合わせよろしく、その人影に、目をやったのだが、

 どうやら、待ち合わせのお兄さんの、

 手に挟まれたタバコに対して、

 スーツ姿の女性が、両手を挟む形で、

 何やら、微動だにしない。

 タバコと、手のひらの距離は、約30センチ。

 一体、何が、行われてるのだろう。

 終わったようだ。

 お兄さんは、タバコを一口吸った。

 そして、何やら、感想を言っている。

 スーツ女性は、軽く、はにかみながら、

 もう一度、その所作を、お兄さんのタバコに対して、

 開始した。

 なんなんだろう。

 タバコの火が、消える手品か、

 それとも、味が、

 メンソールに変わったりする魔術なのだろうか。

 奇妙な空気が、充溢している。

 だって、手は、触れてないんだもん。

 そこだけ、突如、操作してるけど、操作してない、

 という非操作の「不在」なるものが、浮かび上がってる。

 こんなんも、やっぱ、まだ、生き残ってんだなぁ、

 などとも、思いつつ、

 しばらくして、その所作は、終了し、

 何やら、二人は、ひと言ふた言、会話交わし、

 そのスーツ女性は、離れていった。

 もしや、「超能力な女」なのか、

 と閃き、後を追うが、ものすごい速さで、

 至るところの、喫煙者に、声を掛け、

 断られ、しかも、人ごみを、掻い潜って、

 アルタ方向に、突き進んでいったのだった。

 あれかも、耳なしホウイチが、

 落ち武者に、連れられて、魔界に連れさられるときの、

 非人間的なスピードに、満ちている。

 こういう、あやしさも、一度、ドキュメントしたいと、

 思いつつ、何故か、必ず、途中で、見失うのだった。




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