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コンケーン空港の搭乗待合室のベンチに座って、バンコク行き最終TG047便の搭乗を待っていた。携帯電話の着信音、ベンチの隣りから聞こえる。「私は今、コンケーン空港にいます。」日本語で話してるのが聞こえる。思わず隣りに目をやると若い女性、間違いなくタイ人であって日本人ではない。しかし日本語で話してる。よく聞いてみるとアクセントが少し変で、それは聞きなれた同居人のKの日本語と同じような感じなのだが、明らかにKより上手だ。実践で覚えた日本語なのだろうか。
他人の話を盗み聞きする趣味はないのだが、彼女は声を潜めて話すわけでもなく、いやでも声が耳に入ってくる。隣りに座ってるオヤジが日本人だと気付いていないのかもしれない。「田舎に帰ってセンキョウに行きました。」バンコクにいる日本人の恋人か友人か(もしかしたら『客』)に、どうしてコンケーンにいるのかと聞かれたのだろう。センキョウって何だ?ああ、選挙か。しかし、電話の相手は理解出来ないらしい。「ベンキョウじゃない、センキョウ!」 今日のタイで最大の関心事は国会議員の選挙だ。日本人には関係無いといえばそうなのだが、一歩外に出れば、至るところに選挙のポスターが貼られている。バンコクだけでなく地方でも同じだ。選挙が近いと意識せずに生活するのは至難の業ではないかと思う。また、タイの選挙が日本と違うのは、投票できる場所は現住所ではなく、本籍地(出生地)であることだ。役所に住所を届け出る制度がないのかもしれない。 何の脈絡もなく『センキョウ』と言われたら判らないかもしれないが、これらを頭に置いて聞けば『選挙』のことだとわかりそうなものだ。しかし彼女が何度「センキョウ」と繰り返しても、相手は理解しないようだ。「どうしてセンキョウ、判らないか!」判らないのがどうしてなのか判るなら、判らないはずはないのではないか。タイ人らしい理不尽なキレ方だ。しかし彼女も自分の間違いに気付いていない。キョウの発音は、タイ語で『緑の』という意味の言葉にそっくりだったりする。センキョウじゃないよ、センキョだよ!センキョのトウヒョウって言ってみなよ。口に出して訂正してやりたい衝動を、必死に抑えた。しかし見ず知らずの日本人オヤジが口出しすることではない。 「英語で?英語ならElectionです。」それでも相手は判らないらしい。勝手に突っ込めば、確かに日本語で「選挙に行く」と言って通用するが、正確には「投票に行く」だろう。Voteのほうが正しいのではないか。だが彼女は英語もかなり出来そうに思う。いずれにしても、英語で言わせておいて答えを聞いても判りませんというのは、情けないというか恥ずかしいというか… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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