主なあらすじ・・・・・
前回からの続き・・・・・(暗黒の山 後編)
暗黒に染まった空を見上げる彼らは 普段の軽口も消え 唯々 呆然と言葉を失っていた
何かに怯えたかのように ガブラスの狂乱は続き
風切り音を物ともせず 阿鼻叫喚の鳴き声を放つ
絶え間なく落ちる落雷だけが 数十匹のガブラスを絶命させ
暗黒の空に空隙を生み落としている
「お・・・・ おい あ・・あれ 見てみろっ!!!」
そう叫ぶ クライムの声も震えていた
クライムの指差す先 山肌の中腹地点に
火山帯を主に生息地とする小型の飛竜 バサルモスの群れの姿があった
バサルモスとは 現存する数多くの飛竜種の中でも比較的大人しく
小型の部類として認知されており 鉱石を主食とし
自らに何らかの危害を受けない限り岩石に擬態する
本来 争いを好まないはずの生物であったが 主食である鉱石を食い荒らす為
王国から命を受けた ハンターギルドから 害獣として位置づけられ
しかも 掛けられた懸賞金も法外であるゆえ 乱獲の憂き目にあっていた
最近では その姿を見る事さえ稀で 絶滅したとも うわさされている
その稀有であるはずのバサルモスが 狂ったように群れをなしながら
東の方角に向け 地響きをたてているのである
豪胆で知られる クライムが驚愕するのも無理はなかった
「あ・・・ありゃあ・・・ な・・な 何かから逃げてるんじゃねぇ・・・のか?」
ドクスが 言ってはいけない言葉を口にする
「な・・・ な・・何かってなんだよっ!!! ドクス!!」
クライムが怒気を含んだ声で問い返した
「お・・俺にだって分からねぇよっ ただな坑道掘ってる奴等から聞いた話じゃ
時折 バサルモスの死骸が見つかるって話だ
それも ぱっと見じゃ分からん程 食い散らかされてな・・・・」
「ただの与太話として 聞き流していたけどよ ま・・まさか・・・な」
一斉に 皆 言葉を失う・・・
「じょ・・・ 冗談は顔だけにしろよ ド・・・ドクス
バサルモスを食う奴なんて き・・聞いたことねぇぞ!!」
クライムは ドクスの言葉を否定する
いや 否定したかった
詰所に待機する全ての隊員にも 動揺の色がありありと見てとれ
このままでは浮き足立つのは確実である
「黙れ 貴様ら!!!!!」
副長のギルが鋭い叱責を飛ばした
普段は温厚として知られるギルであったが 緊急時には男顔負けの怒声をあげ
数々の荒事を乗り越えてきた経験を持つ
女性だからといって簡単に生き抜いて来れるほど甘い世界ではないのだ
「隊長・・・ 御指示をお願いします」
先程までの狼狽は どこ吹く風に 冷静さを取り戻したギルはエルフィンからの号令を待った
「隊長っ!!!!」
「隊長っ!!!!」
全ての視線が エルフィンに注がれるのを見ても
この昼行灯(ひるあんどん)と呼ばれている者の信頼の高さが窺い(うかがい)知れた
「お前ら・・・ 装備を固めろ 第一級戦闘体制を取れ!!!」
エルフィンの言葉は 短かかったが 隊員全てに勇気を与えるものだった
「おおおおおおっぉおおおおお!!!!!」
「おうっ!!!!」
「おーーーっしゃぁぁぁーー!!!」
ひとしきり トキの声が広がった
ガチャガチャと鋼と鋼が擦り合う音が そこら中で鳴り響く・・・
ガーディアンヘルムを身につける者
バーンエッジの刃を砥ぎ出す者
ショットボウガンに多数の弾薬を詰め込む者
準備の最中(さなか) 誰一人として余計な言葉を吐くものはいなかったが
先程までの焦燥感は皆無で 新たなる戦いに向け守備隊の面々には
高揚感が漂い始めている・・・
所詮彼らは 戦いの中でしか自らを自己表現出来ない生き物なのである
「ドクス 回復薬の予備はあるかい?」
「あいよっ ほれ」
慣れた手つきで ドクスは回復薬を放り投げる
エルフィンも 愛用の近衛隊正式槍と呼ばれるランスを手に取り
先端に拡散弾を取り付け始めた
この武具は 彼独自が考案した物あり 対象物に攻撃が命中したと同時に
拡散弾が爆裂し 強大な破壊力を見せる
イヤンクック 程度の小型の飛竜ならば 一撃の下に頭部を粉砕する
この武具が 生き残った部下によって 後の世に広まり
ガンランスと言う武器に生まれ変わるのは また別の話である・・・
「ドクス 生き残れよ・・・」
「お前こそな・・・・」
長年連れ添い 悪友でもある ドクスと クライムは互いの胸を小突きあった
今生の別れとは知らずに・・・・
それは絶望への秒読みであった
続く・・・・・・
後記・・・・・・
いやぁモンハンの事になると いくらでも書けるなぁwww
チャンバラのいい息抜きになるっすw
ガンランスの誕生秘話だけで 10話位 楽に書ける感じっすねw