主なあらすじ・・・・・・・・
前回からの続き・・・・・・(命の切り札)
まどろむ意識の中 ガチャガチャと鎧の留め金を外す音が遠くで聞こえていた・・・
俺は助かったのだろうか・・・?
意識はボンヤリとし 思考がうまく繋がらない
今の自分が 夢か幻か分からぬまま エルフィンの意識は 再度 深い闇へと閉ざされた
「・・・・・・ょう!」
「・・・いちょう!!!! 目を開けやがれっ!!!」
野太い がなり声と共に 激しく体躯を揺すられ 間髪を入れず
エルフィンの頬が2度大きな音を立てる
「・・・・す・・す 少しは加減してくれ 本当にあの世へ送る気か・・・」
横たわるエルフィンに馬乗りし もう一度 平手打ちを行おうとしてた
ドクスの顔が見る見るうちに破顔する
「しぶてぇな 隊長は!! やっぱり生き残りやがったか!!」
「ああ・・ 何とかな・・・・
ただ左の鼓膜がいかれちまってる こっちは あまりよく聞こえないようだ」
エルフィンは 左耳に 右手の指先を添えようとした事に気づき 苦笑いを浮かべる・・・
(そうか・・・・ そうだったな)
燃え焦げたレウスメイルは取り外され
断裂された右肩には 完璧と言って良い程の 止血の処置が施されていた
傷跡にあてられた布は 雪原地方にのみ生息する ガウシカの体毛を元に生成された一品で
幾重にも折り重ねることにより携帯性にも優れ
荒事を日常茶飯事とする軍隊にとって非常に重宝されていた
「この処置は ドクス 君か・・・?」
「いや・・・ 後ろに控えている御仁だぜ」
エルフィンは ゆっくりと振り返った・・・
「ギッ・・・ギルッ!!! 何故 君がここに・・・?」
「エルフィン・・・・」
それまで押し黙っていた ギルは大粒の涙を浮かべ エルフィンに思い切り強く抱きついた
大きく嗚咽を漏らし 泣き崩れる姿は 普段からの気丈な女副長の面影は無い
「い・・生きてた・・・ 良かった うっ・・・ぅぅ」
ギルの嗚咽が収まるのを見計らったように ドクスが その重い口を開く・・・
「隊長・・・ クライムの姿が見えねぇが・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
エルフィンの沈痛な面持ちから ある程度の覚悟を決めているのだろう
ドクスの声は 深い悲しみを帯びている
「俺の命は 奴からもらったような物だ・・・」
「そうか・・・・ 逝っっちまったか・・・ 馬鹿野郎がっ」
「最後に家族の命を救えたんだ 奴も本望だったろうぜ・・・」
ドクスは 自らの言葉とは裏腹に 噛み切れるほど強く唇をかんでいた
「俺の力が足りなかった・・・ ドクス すまない・・・」
「何を言いやがる! 隊長は俺たちの命を救ってくれたじゃねぇか・・・
隊長は 何も悔いる事はねぇよ さすが俺たちの隊長さ」
「・・・・・・・・・・・・・」
「隊長 ところで あの化け物の姿が見えねぇが どうしちまったんだ・・・?」
ドクスは周りを見渡しながら エルフィンに問いかけた
「分からない・・・・ それが今の俺に言える答えだ
拡散弾を握りこみ 奴の顎に喰らわせたところで 俺の記憶は途切れている・・・」
「かぁぁ!! 逃げたか どうかさえも分からねぇのかよぉ!!
何もかも闇の中っつう訳かっ・・・」
ドクスは 感情を露にし 頭部をゴリゴリと悔しそうに掻く
「俺からも聞かせてくれ お前たちには撤退を命じた筈だ・・・
なぜ 今更 ここにいる?」
ドクスは ニヤニヤ笑いながら エルフィンの胸元で泣き崩れるギルスに目配せをする・・・
「撤退の最中 自分だけでも戻るって聞かねーんだわ・・・・
力づくで言い聞かせようにも 目が血走っちまってな
隊の奴らはそのまま撤退させ 俺と副長だけ戻ってきたわけだ」
両手を広げ 降参の合図をする
エルフィンは 右肩の傷の痛みを忘れ 小さく笑った・・・
荒野にたたずむ3人の足元を 一陣の寂しげな風が舞う
それは この戦(いくさ)の終焉を 彼らに伝えているようだった・・・
続く・・・・・・・・
後記・・・・・・
いやぁ 間空いちまいました 小説を楽しみに読んで下さる皆様すんません><
やっぱり 親ハンの団長として フロンティアの 「おもしろさ」 「楽しさ」
を皆に伝えたいって思うと どうしても フロンティア日記を優先させちまいます
鬼編集長の タカチが フロンティア日記を書け 書けと毎日言うのも原因っす(笑)
さて ずい分長く続けちゃいました エルフィン隊の戦いも今回で幕を閉じたいと思います
はじめは 如何に紅竜の 恐ろしさ 強さを見せ付けるためだけのエピソードでしたが
数多くの登場人物が一人歩きを始め 作者の立場からも どうしょうもなくなって
当初予定していた 「全滅」の最後とは大幅に違う エピローグとさせて頂きやした
登場して頂いた皆様 本当にありがとうございました!!!