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2010.08.12
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カテゴリ:徒然
 仕事柄、税関連の文書を見る機会が多いのですが、税というものはどんどん法改正されて移り変わってしまい、いつも最新の情報を見ないと痛い目にあったりします。

 なので過去の税について触れる事はあまり無いのですが、たまたま古い税法を調べる必要があってwebを彷徨っていたら偶然「自転車税」なるものに引っかかりました。



 国税として自転車税が徴収されたのは、明治5年に東京府下で諸車税を徴収(対象は1台だった)されてから遅れること3年の明治8年(1875年)に実施された車税が最初のようです。(車税が決定されたのは明治6年)

 同時に付加税として府県税も徴収されることになり、税額は自転車1台につき1年で国税1円、東京府税1円の計2円。

 この税金は「道路、橋梁之修覆或ハ貧民救育、小学費用、邏卒入費等二宛」てるという事だったようですが、実際に何に使われたか不明なのは現在の税金と同じ。

さてこの年額2円という税金が高いか安いか・・・・

 当時の銀座の地価が坪5円だったそうなので、そう考えると驚くほど高額だったと思われます。当時でも銀座は銀座ですからね。地方の「銀座通り商店街」とはワケが違います。

 これは、まだまだ自転車が普及するずっと前の話で、自転車を所有しているなんていうのは現在で言うと自家用ジェット機を持っているような感じだったのかもしれません。

 明治13年からは各府県でも課税するようになり、明治25年には年間の税金は1台当たり国税3円、付加税もほぼ同額という状況となる。

 この頃の自転車登録台数は全国で約1万台。自転車の値段は200円だっったとのこと。

 当時の公務員の初任給が50円だったことから考えると、今で言うと100万円位に相当するのではないでしょうか。そんな贅沢品だから、自転車は富裕層のステータスのような存在であったため、税金の負担感もそれほど無かったということです。

 ところが自転車の低価格化と普及に伴い税の負担感は反対に増していきます。庶民の足に税金がかかるとなれば、当然のことながら自転車税廃止論も盛り上がり、自転車税は徐々にその姿を変えつつ遷移。完全に消滅したのは昭和33年(1958年)でした。

 廃止の理由としては、税収に占める自転車税の割合が小さいことに加え、徴収にかかる事務手続き費用が嵩む、ということでした。相変わらず税金とは徴収側のご都合主義で課される類のものであるわけですね。


さて、自転車税とは無縁となった現在の私達はどうでしょう。


 大量に生産され、廉売されるママちゃりはある意味使い捨て同然の扱い。駅前には放置され錆び付いた哀れな自転車たちが山と積まれ通行を阻害。

 生活が豊かになってモノが簡単に手に入るようになってから、モノを大事にするという感覚が希薄になってきている感は否めません。

 色あせてしまった撤去勧告シールを今日も風になびかせながら主を待つ自転車に、かつてハチ公物語に感じた人の心の温かさを想う余地は無く、錆びたハンドルに鈍く反射する夏の太陽にただただ汗を拭って通り過ぎるだけなのでした。





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Last updated  2010.08.12 04:51:21
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