カテゴリ:自転車ルール/マナー関連
横断歩道に並んで設置されている自転車横断用のレーンを「自転車横断帯」といいますが、現在都内には約1万五千箇所もあるのだそうです。
横断歩道を通行する歩行者と自転車を分離して事故を減らそうという狙いで設置されたのですが、「車道走行」を原則とする道路交通法とは相反する存在にもなっています。 道路交通法第63条の6では以下のように規定されています。 (自転車の横断の方法) 第六十三条の六 自転車は、道路を横断しようとするときは、自転車横断帯がある場所の付近においては、その自転車横断帯によつて道路を横断しなければならない。 つまり、こういう事。車道の直進はNGです。 この「自転車横断帯」は1978年の道交法改正による「自転車による歩道走行の事実上の解禁」で設置が始まったものですが、以来2008年の道交法改正までは「自転車は歩道を走るもの」という意識が国民に定着し(今でもそうですが)、その名残として「自転車も走れる歩道」や「自転車横断帯」があるといえます。 で、5月17日、この「自転車横断帯」を撤去するとの発表が警視庁から出されました。 曰く、「自転車横断帯があると自転車はそこを走らなくてはならないため、直進したくても一旦左折して自転車横断帯を走り、また右折して本線に戻らなくてはならなくなり、交差点を左折する自動車に巻き込まれる危険が高い」と。 自転車横断帯が無ければ自転車は車と一緒に車道を直進できるため、確かに便利にはなるし、余計な事故も防げる。 しかし、道交法の要請どおりに自転車横断帯があればそこを通るということをしている人がどれほど居たのだろう。 例えば街道を30Km/h程度で流していて、交差点に差し掛かるたびに自転車横断帯の有無を確認して、あれば左折して横断帯を渡って・・・などという面倒(と言ってはいけないが)な事を実践するのは事実上困難だろうと思うのです。 そもそも自転車横断帯を使っているのは歩道走行をしていた自転車がその延長で走っているに過ぎず、更に言えばその存在意義や法的背景など知らず、自転車横断帯が併設されているにも関わらず横断歩道の方を堂々と走っている人が大多数というのが現状ですよね。 事実、 「これ(自転車横断帯)って意味無くね?」 と思っているライダーも多かったと思う。意味は無くても「法律だから守るべき」というジレンマ。同じ車道を直進してしまうにしても「法規に違反している」と後ろめたさを感じながら走行するのと堂々と走行するのとでは精神的には随分と違うのです。 で、思うのだけど・・・・ 自転車通行可能な歩道が残るのであれば、歩道を走るママチャリにとっては「横断歩道で乗車」という行為を助長させる事になりはしないか? と言うか、そもそも「自転車通行可」の歩道の延長にある横断歩道も自転車通行可にしておいていいと思うのだけど、そこにわざわざ「自転車横断帯」なんてものがあるから余計に話がややこしくなってるんじゃないかと思うし、そういうややこしい問題を放置しながら、当局が違法走行を黙認し続けたから現在のアナーキーな自転車事情が生じたのは疑いようも無いですよね。 で、話を戻すと、有名無実化している道交法63条の6を改正して、或いは削除するだけでいいのでは? そもそも道交法の浸透や啓蒙の方が先でしょ?なんて思うのです。 1万5千箇所もある横断帯の撤去にかかる費用を、もっと有効な交通安全対策に使ってもらえたらと考えてしまう今日この頃なのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.05.26 09:05:12
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