モンドの親子未来塾ブログ

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今日は、２年前の「親子禅問答」から抜粋です。

日付は、２００４年５月１２日になっています。

今年の８月の末に、こんな親子の会話を集めた本が出ます。

今、その原稿を書いています。

親子でもっと会話しよう!!　というような本にしたいです。



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Vol.106「終着駅と途中下車」　UP:2004年5月12日


休日のデパートは、かなり混み合っていた。

私は文具売場に行きたくて、モンチと一緒にエレベーターに乗った。

混み具合は、エレベーターも例外ではなかった。
　
目的地は８階。ほぼ各階のボタンが灯っている。

これならエスカレータの方が良かったな、と脳裏をよぎりながら、

ふと、イヤな予感も灯ってきた。

案の定、きた。

「お父さんの夢ってなに？」

静まりかえったエレベーターで、そう言い終わったモンチが笑っていた。

普通、ギュウギュウ詰めのエレベーターでする質問ではないが、

モンチにとってみれば知りたいときが訊きたい時なのだろう。
　
しかしである。

私にしてみれば、テレビに生出演しているくらいの緊張状態におちいり、

とうていギャグをかます余裕すらない。

エレベーターは３階で止まり、２人が私の顔をちらっと見ながら降りて、

新たに３人が乗り込んできた。答えるタイミングが一瞬うせた。　

こういうとき、アメリカ映画のワンシーンならば、

ウィットに富んだ台詞でその場をかわし、さすが～とうならせるのだ。

私も、ためしにウィットに富んだ台詞を考えてみた。

「そうだね、どこでどんな質問をされても、

サラッと答えることができるような、そんなお父さんになるのが夢かな～」

と言ってウインクしたかった。

しかし、私はこんなキザなお父さんにだけはなりたくなかった。

私はつい緊張感のあまり、その場しのぎの質問をしてしまった。

「モンチの夢は?　というか…今、何をしてるときが一番楽しい？」

「お父さんがさきに答えてよ」

全然その場をしのげなかった。

エレベーターは５階で止まり、３人が降りて、新たにまた３人が乗り込んできた。

昼時だから、ほとんどが９階のレストラン街を目指しているのだ。

エレベーターと共に、私の血圧も上昇してきた。

そして私は６階で降りることを決意した。

６階に着くやいなや、私はモンチの手をひいて降りようとした。

「お父さん、文具売場は８階だよ!!」

「途中下車の旅だよ」

「なにそれ?」

「ぶらり旅!!」

「なんやねんなそれ(←へたくそな関西弁)」

私は、モンチを６階と７階の踊り場のベンチに腰掛けさせて、

自分の夢を聞かせてやった。

「お父さんの夢はね、世の中の子供たちが、立派に育つ手助けをすること」

「立派って?」

「心優しくて、しかも賢くて、健康なこと」

そして、もちろんモンチの夢も訊いてみた。

「今、絵を描いたり、何か作ったりするのが好きだから、

それを人に見せて喜ばすこと」

「へぇー、おもしろそうだね～」

私は、今の夢にたどり着くまでに何度も途中下車をしたように思う。

しかし、その途中下車があったからこそ、今の夢にたどり着けるのだとも思う。

娘にも、何度も途中下車をしてもらいたい。

一直線に昇りつめるなんて、少しも楽しくない。

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