駄々っ子お姑ごん駄々っ子お姑ごんあれはいつのことだったか、、、。 夫がお姑ごんに、今夜のディナーは皆揃って外食に出かける計画があることを告げた日のことである。 お姑ごんはディナー時間の前に食事をし始めてしまったのだが、私もその時は、『ディナーは外で食べるって知っている筈だけど、お腹一杯にならないかしら。』とちょっと気になった程度であった。 恐らく毎日飲まなければならない薬の時間に合わせて、ちょっとだけ食べているのだろうとも思ったのである。 すると、お姑ごんはお代わりまでしようとするではないか。 『食事に出掛けるのは後1時間後になると思いますが、大丈夫ですか?』 と私が言うと、『私、今日外食する気分じゃないの。』とすねた調子で言うお姑ごん、、、。 そんな時、夫が帰ってきた。 夫は『外食しに出掛けるぞ。』と早速出掛ける準備をし始めたのだが、食事をしているお姑ごんを見ると、準備している手をすかさず止めた。 『お母さん、外食しに出掛けるってこと言ったよね? (^^;)』と、夫はちょっと遠慮がちに話しかける。 すると、お姑ごんは『すっかり忘れていたの。ごめんなさい。』と、私に言ったことと違うことを言っては弁解しているではないか。 結局その日は、お姑ごんがお腹が空いていないということで、外食もキャンセルになったのは言うまでもなく、久々の外食にかなり期待していた私はがっくりと来てしまったのである。 こんな風に、お姑ごんはいつもわざと遠まわしな手を使って、夫に自分の言いたいことを主張する傾向がある。 例えば、ロスアンゼルスに住んでいる叔母(お姑ごんの妹)の家に寄った時も、『数日間泊まりたい。』と夫や叔母に遠まわしにせがんだこともあった。 夫:『また来週末にここには遊びに来るし、第一、着替えも持っていないじゃない。』 お姑ごん:『洋服は妹から借りるから大丈夫よ。妹は貸してくれるわ。』 夫:『でも、突然泊まるなんて言い出したら、皆が困ると思うよ。』 お姑ごん:『大丈夫よ。妹と同じベッドで寝るから。それが駄目なら、ソファーでもいいし、カーペットの上でもいいし。何とかなるわよ。』 夫:『でも、薬は? 明日の分はどうするの?』 お姑ごん:『あ、薬なら鞄の中にあるわ。』 夫:『今日の分だけ持ってきたってことでしょ?』 お姑ごん:『ううん、数日分ちゃんとあるわよ。今日は偶然にも薬が丸ごと鞄に入っているの。数日分の下着も鞄に入っているし。』 皆:『・・・・・・;(苦笑)』 服用しないといけない薬や数日分の下着までも、家からちゃっかり隠して持参していたお姑ごんだが、「偶然にも、薬と下着が鞄に入っていた」と言い張っていた様子も、今から考えれば滑稽な話である。 どう見ても、誰の目から見ても、ロサンゼルスに経つ前から泊まることを「計画」していたのは明らかであった。 普通なら、お姑ごんが泊まることに関して咎めたりはしないのだが、その日は叔母も、メキシコから5人ものゲストを迎えており、ゲスト用のベッドの数を確保する為に大変だったと聞いていた為、私も夫も、そして夫の従姉妹たちも、今回だけはお姑ごんに泊まることを遠慮してもらいたいと思っていたのだ。 それなのに、お姑ごんは、『泊まるの!泊まりたいの!妹と一緒に居たいの!』の一点張り、、、。(ーー;) 結局、叔母の好意に甘えて、お姑ごんを泊めさせることにしたのだが、他のゲストたちだけでなく、お姑ごんにもベッドを明け渡さなければならない従姉妹たちになぜか私が申し訳ない気持ちで一杯になった。 駄々っ子は、子どもに限らず、大人にもいるというのを、お姑ごんや私の昔の上司を見て理解出来たのだが、駄々っ子の大人を相手にすると、『子どもが言ってると思えば、腹も立たなくなる。』とか、『何を考えているのか分かりやすいから、かえって楽かも、、、。』などと考えるようにした。 時に、姑ごんが、自分自身が駄々っ子であることに全然気が付くこともなく、駄々っ子行為を平気で続ける様子を見ては、呆れるとともに腹も立ってくることもあったのだが、そんな時は、「でかい棒つきぐるぐるキャンディーをしゃぶって笑っている子ども」を頭で想像しては、「私はその子と会話をしているんだ」、と自己暗示に似たようなこともしたりした。 そうすると、『しょうがないわね。』と割と楽に人のわがままを流せるから、おかしなものである。 時が矢の如く去り、お姑ごんを迎えにあがる日がやってきた。 短いながらも、ロサンゼルスでの日々を楽しんだ様子のお姑ごん。 が、開口一番に、『来週末に迎えに来てくれるかしら。まだ帰りたくないの。』と言い放ったのである。(ーー;) 夫は、『はるばるロスアンゼルスまで迎えに来たのに、また来週だって!? 迎えに来る前に、電話で言えたでしょうに! 今度は息子夫婦と一緒に時間を過ごす番だよ。さあ、帰る支度をしてね。』とお姑ごんを説得した。 お姑ごんも、この時ばかりはさすがに逆らえなくて、しぶしぶながらも帰る支度をしていたのだが、やれやれ、私の頭の中に一体今までに何度、でかい棒つきキャンディーをしゃぶって笑っている子どもが登場したことだろうか、、、。 |