メキシカン・アメリカンな暮らし

2004/05/07(金)05:50

アメリカ合衆国におけるCinco de Mayo(シンコ・デ・マヨ)

メキシカン・アメリカンな暮らし(6)

アメリカに慣れてきた頃から、「5月5日は子どもの日」と思いつく前に「5月5日はCinco de Mayo(シンコ・デ・マヨ)」と思いつくようになっていた。 このCinco de Mayoを訳すると、Cinco=5、de Mayo=5月の、で「5月5日」となるわけだが、「プエブラの戦い」でメキシコがフランス軍を打ち破った記念日として、アメリカ合衆国(特にメキシコ系移民やメキシコ系アメリカ人の人口が多い地域)や本国メキシコ各地で祝われる。 メキシコに住む私の義理の従姉に言わせれば、アメリカ合衆国で祝われるCinco de Mayoの方が「異様なほど」盛大だそうであるが、案の定、Cinco de Mayoがメキシコの独立記念日だと勘違いしている人も未だにいるようである。(メキシコの歴史に疎い私の友人は、「5月5日はマルガリータが各地のイベントで飲める日」だと言っていた程、、、。確かに間違いではないが。。。;) 私も数年前までは5月5日若しくは5月5日前後の週末になると、ロサンゼルスで開催されているCinco de Mayoイベント会場に繰り出しては、メキシコの歌に合わせダンスをしたり、メキシコ料理を堪能したものだが、アメリカ合衆国での祝い方は、まさに歌って、踊って、食べて、飲んでという感じだ。 商業効果もあってか、この日はメキシコ製ビールやマルガリータ、トルティーヤチップスにサルサ、タコスなどのメキシコ料理というイメージがやや強く、私の近所のスーパーの広告にも、Cinco de Mayoセールと題して、メキシコのビールやサルサ、マルガリータミックスにトルティーヤなどの「メキシカン」な商品を初め、パーティーに使える商品などがセール対象品となっていた。 その他、メキシコ製のビールのテレビ宣伝が増えたり、レストランでCinco de Mayo特別メニューが登場したりという具合で、Cinco de Mayoは休日にこそはなっていないが、すっかりアメリカ合衆国の一大行事の一つになっている。 ~何故アメリカ合衆国にこれほどまでに浸透したのか?~ Valerie Menard(ヴァレリー・メナルド)さんの著『The Latino Holiday Book(ザ・ラティノ ホリデー ブック)』によると、「プエブラの戦い」でメキシコが勝利を治めたその翌年には、ある興行主がCinco de Mayoを称えダンスを始めたそうで、それがCinco de Mayoイベントのルーツと言えるそうだ。 それが広まり、やがて社交クラブや団体で催されるダンスに展開、その後ダンスにスピーチやパレードなどが加わっていき、メキシコ系アメリカ人やメキシコからの移民が多いコミュニティーで徐々に大きくなっていったのだそうだ。 60~70年代になると、アフリカ系アメリカ人の後に続き、メキシコ系の人達も公民権運動を推進、その頃から、自分のルーツや本国メキシコの歴史を反映するような行事を探し始めたそうだが、丁度その頃、学校などの教育者達の間では様々な国の文化に関する授業をカリキュラムに織り込む事の重要性を認識し始めたという。 この2つの要素が相成り、Cinco de Mayoがアメリカ合衆国でも受け入れられるようになったというわけだ。 では何故メキシコの独立記念日ではなくCinco de Mayoがより知られているのかというと、どうやら学校のカリキュラムを検討した際に「便宜さ」でCinco de Mayoが選ばれた事実も理由の一つなのだとか、、、。 なんでも、メキシコの独立記念日は夏休みが終わり学校が始まる9月にあり(9月16日)、それよりも、学校の終業月(アメリカ合衆国では5月)にあるCinco de Mayoを教えた方が、幾分授業やクラス活動の準備に時間的余裕があるからなのだそうだ。 そしてもう一つの理由は、アメリカ合衆国でマイノリティーと見なされ、差別を受け続けたメキシコ系の人達が、「プエブラの戦争で約2倍の兵力があったフランス軍を倒した小さなメキシコ軍」に合衆国で生き抜く自分の姿と重ね、Cinco de Mayoの出来事がメキシコの勇気とself-determination(セルフ ディタミネーション:民族自決)を尊重するものとし、Cinco de Mayoをより盛大に祝うようになったというものだ。 これはアメリカ合衆国で「異様なほど」盛大に祝われるようになった有力説の一つでもあるが、そういった意味でも、メキシコ系の人達にとってのCinco de Mayoは本国メキシコにおけるCinco de Mayoと少し異なると言える、、、。 追記: 『民族自決・・・「ある民族が他の民族や国家の干渉を受けることなく、自らの意志に基づいて、その帰属や政治組織を決定すること。」(インフォシークマルチ辞書より引用。)』 「プエブラの戦い」については、いつかアップしたいと思います。 参考文献: *Valerie Menard "The Latino Holiday Book ~From Cinco de Mayo to Dia de los Muertos----the celevrations and traditions of Hispanic-Americans~"

続きを読む

総合記事ランキング

もっと見る