貞観地震
1990年時点で、次の点が指摘されていた。 阿部 壽, 菅野 喜貞, 千釜 章「仙台平野における貞観11年 (869年) 三陸津波の痕跡高の推定」(『地震 第2輯』 1990 年 43 巻 4 号 p. 513-525)。 紀元869年に発生した貞観地震時の仙台平野では、 1)海岸から3キロメートルまで津波が押し寄せていた。 2)津波堆積物=海の砂が津波で運ばれ陸上に残る=津波堆積物を確認することができ、調査の進展で同様の堆積物は各所で発見されるようになった。 3)同平野では貞観地震のほかにも800~1000年間隔で津波に襲われてきた。 4)貞観地震による津波は相馬も襲ったことが明らかになった。 2011年3月11日、後に命名される東日本大震災を誘発した東北地方太平洋沖地震が発生する約20年前に行われている指摘である。 関心は持続されたか2005年からは、宮城沖地震の調査研究が5年計画ですすめられたそうである。 5)西暦1500年頃の津波堆積物が見つかった。 6)貞観津波にる浸水域の広がりも明らかになり、 7)5)と6)をもたらした巨大津波と津波堆積物分布の広がりを、どのように評価し、 8)地震防災に役立てるかの結論を得る前に超巨大地震=東北地方太平洋沖地震が発生している。 9)しかも、貞観地震と(近年も頻発する)宮城県沖地震の震源域がほぼ同一であった可能性も考えられる。 5)から9)に要約した項目内容は、 行谷佑一ほか(2010)宮城県石巻・仙台平野および福島県請戸川河口低地における869年貞観津波の数値シミュレーション,活断層・古地震研究報告 第10号 産総研:活断層・火山研究部門:緊急調査 (aist.go.jp) 島崎邦彦「超巨大地震、貞観の地震と長期評価」(『科学』2011年5月号)