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カテゴリ:【黄金を抱いて翔べ】考察
あれ?どこまで書いたのか…ってまだ冒頭でした。いや、別に全部書く必要もないんですけど(や、書けないですけど)最初1回目では、やはり全体像は掴めなかったです。 なぜかと申しますとですね・・・・単にモモのビジュアルを追うのに精いっぱいでですね(スミマセ・・・)あーあれ?あーあら?ええ!いやっ!駄目!(ナニ)とかですね、口開けて終わってたかと思いますんで(ひどっ) 末永がですねーまさかの台詞なしとは思いませんでしたよ。 (劇中で話しはしてますが、彼らに向かって発する言葉は一切ありませんでしたね。)なのに存在感凄いですね。鶴見さん。ほんとに、ほぼアクションシーンだけで、出演、または要所要所での重要部分。 道沿いで幸田が、末永と遭遇するシーンとか・・・ モモの回想シーンで、恐怖に震えるモモが見詰める末永とか。 ただそれだけの出演で、あれだけの威圧感と、異質さ、異様な存在を感じることができるのは、やはりその役者の放っているオーラ、末永を演じている鶴見さんの演技力と申しますか・・・ああ、もう素人がこのようなこと書いておこがましいですが、そう感じました。 その末永に対してのモモの思い、感情がですね、なんといっても、モモが幸田に対し、回想シーンを終え、「犬だ・・・」そう答えたときのあの表情が・・・あの表情とあの犬とのセリフだけで伝わってきました。 (あーなんか端っこにチャミ様いる・・・・こうして比べるとまったくの別人ですね・・・)
自分を陥れたことに対してよりも、仕えている国家を裏切り、そして更に二重スパイをして、のうのうと生き延びている、そのことが許せないと、自分が汚名を着せられたことよりも、そのことに怒りを感じているような。 それが「犬だ・・・」と発したモモの台詞に込められているではないかと。 末永は自分に手が伸びていることを知る、または嗅ぎつけられ自分の身が危うくなると、容赦なく、証拠隠滅のために、冷徹に指示を出し、その相手を殺していく。 モモが逃げ延びていた2年間(よく逃げ延びていたなと思いますけど、この部分がもしかしてモモも優秀なスパイ、工作員であったという証、表現なのかもしれないです。)執拗に追いかけ、追い詰めていく。 そんな末永の設定だったからこそ、逆に台詞がなかった分、凄味のある、決して隙のない存在、畏怖の存在と感じたのかもしれないです。 人が死んでも。自分の手配した部下が死んでも目的さえ達成すればそれでいいと。感情の揺れ、揺るぎは見えないです。さすが長年二重スパイをし、両国に感づかれることなく生きてこれたのだと思わせます。 で、逆にここでも、その巧妙に隠れながら二重スパイをしていたことに感づいて調査していたモモが、いかにスパイとしても優秀であったかとの証明になるのかと思いますが・・・高村先生、モモの能力の高さの表現、深い描き方ですね。(違ったらごめんなさい。) やはり経験年数や末永独自のルートなどはモモでは太刀打ちできなかったようで逆に自分が二重スパイの汚名を着せられてしまいますが。この部分がものすごく今でもモモは悔しく思ってるのではないでしょうか。自分の力量の至らなさ、それにより世話になっていた大家、仲間を殺されたのですから。辛く、哀しく、今でも忘れられない思い、気持ちが「犬」の表情なんですね・・・(犬のシーンひっぱりますね)
そんな銃撃のシーンで、目的であるモモを撃った後、 末永はモモにとどめを刺していないまま立ち去ります。
あれはもうわかっていたんでしょうか。
モモがもう助からないと。
そう判断し、目的を果たしたからアパートから立ち去った。 いずれモモは死ぬと・・・確信したから。
個人的には、このシーンはですね、す・・・末永!!!!(怒)なんですけど・・・(号泣) あの場面は無駄な台詞回しが一切無い分、銃撃のシーンは、幸田とモモに焦点がいったような気がしました。
撃たれてしまった幸田を心配し、そっと倒れている幸田に近づくモモ。 その一瞬の隙に、末永に撃たれてしまうんですね。
これもね・・・もしかして幸田が来なければ・・・モモ一人であれば・・・または幸田に対しての感情を割り切れる関係であったなら(すみません、原作通りの関係で) モモは助かってたかもしれない。 もう一人、潜んでいるはずと。わかってましたよね、モモは。末永が自分を殺しに来ているんだから。暗殺者以外にも、必ず、そこには、ここには、末永が来ているってことを。 でも、そのことを失念してしまうほど、幸田の事を優先してしまったのなら。 それはやはりモモの中での幸田の存在が、モモを変えていったと同時にモモのスパイとしての、工作員としては必要な判断力(たとえば幸田は見殺しにしても相手を先に倒すことに専念するとか)が鈍っていった。 幸田の事が真っ先に心配で、幸田のことを気遣い、隠れているであろう末永を失念し 撃たれてしまったモモ。
悲しい結末、悲しい結果なのですが・・・ モモがいかに幸田を想っていたのかわかるような場面なのかもしれないです。
そっと幸田に寄り添うモモのシーンが・・・目に焼き付いて離れません。
切ない二人の関係性、感情が、あからさまな描写も台詞も一切無く、 原作ではあった要素も、あえて省かれている今作から、感じる気がするのです。
しかしですね、襲撃されるシーンのモモの恐怖に歪んだ表情もね、凄かったです。 今までのチャミ様ではもちろんあんな表情は観たことないですが(あったら問題)あんな表情したチャミ様は、もう完全にモモでした。 最初は生への諦めすら感じたモモだったのですが、仲間を得て、「幸田さん、国が絡んでないから楽しいよ」とまで、言える。そんな風に、計画を楽しみ、仲間との連携を楽しんで変わっていく。(計画は犯罪なので駄目なのですが) この台詞もですね、今までの人生の中で、今まで自分が行ってきた請け負ってきたのは、「常に国が絡んでいた」仕事。 一切抗うことが出来ず、そこには自分の意志も必要なくただ命じられるままに仕事をしてきた自分が。 仲間を得、自分の意志で、動ける。それが共同溝の探索の時、そこで幸田がどんな爆薬が必要か聞くと、「セムテックス・・・・いやダイナマイト・・・と自分の考えで決めることが出来る。それが嬉しく感じたんではないかと思いました。その後につながるシーンでの 「国が絡んでないから楽しいよ」の彼の本当の気持ちなのかと。ある意味、あの探索そのものが楽しいと感じていたかもしれない。 当初の計画を練る段階で、6人全員がじいちゃんの部屋に集まり、地図を見せられた時、そして爆破する話の時にモモが興味を示してますよね、他の5人は、計画を聞いて話している段階なのですが、すでにモモの頭の中では必要な爆薬の種類、数量などの判断をしていたのではないかと思います。それが楽しくて、わくわくして、つい「甲子園一杯分」なんて冗談を言ってしまう。 も・・・もしかして、モモは、冗談を言い合える仲間なんて今までいなかったのではないでしょうか。ついはしゃいでしまったかのような(あれでも)そんな何気ない言葉から、モモの過去を感じる・・・んですけど・・・
あの、これあくまで個人的感情、感想なので、その点ご理解くださいね~(汗)
以前のモモだったら・・・幸田と知り合った当初、じいちゃんのマンションを紹介され、そしてじいちゃんが末永と通じている、自分を売ったと知っているモモでしたが。 もし、幸田たちと知り合っていなかったら、生への執着もなく、諦めていたあの頃のモモが末永に襲われていたら・・・もっと早くに始末されていたのかもしれない。 もちろん反撃するでしょうが。 もっと早くに諦めていた、もしかするともう早く楽にしてくれと、願っていたかもしれない。 けど、幸田たちを知り、仲間を知り、幸田との絆を得て、襲撃されたあの時、あの時の気持ちは。生きようと、生き延びようしていたと・・・もちろん幸田を守る必要もあったと思うんですが。 だからあんな表情をしていたのかなとも思います。
モモは生きたいと願っていた。
金塊強奪の計画に参加し、仲間と共に、手配した船で翔ぶことを、もしかして自分にも、そんな未来が訪れるのではないかと・・・そう思っていたのではないかと感じました。
「犬だ」と緊迫した表情で話すモモ。そのモモの告白を聞いた幸田が、たまらず「出よう、モモ、おごってやるよ」と、急にクシャっと頭を撫でる。ほんとその一瞬でモモが本当にうれしそうに、こそばゆい、くすぐったい表情で笑う・・・あれはブッキーのアドリブですが、そんな表情を引き出せるブッキーが凄いですし、あの表情から一転してあどけない表情で微笑むモモがもうね・・・ほんとに、そんなことが、そんなことですらとても嬉しいモモなんだと・・それがもう愛おしいと思えるのです。 仲間と酒を飲み、計画を練り、語り合い、自分の意志で、ダイナマイトを調合していたモモ。 26年の人生での唯一の幸せ、それもささやかすぎる小さな、小さな幸せを噛み締めていたモモ。
最後までモモを掴めなかったと、モモを理解できなくて申し訳なかったと チャミ様はインタビューに答えていましたが
あの映画の中では、モモがいました。
モモとして、あの映画の中で、モモは最後まで、精一杯生きようと存在していました。
それをあの短い映画のひとつひとつのシーンの中で 映像として、視覚として、伝えてきた、表現していたと思います。
日本での映画撮影のスタイルに、慣れないながらも食らいつき、 怒号の中で、悔し涙を流しながらも、モモであることを モモであるために。
不安に思いながらも、必死で監督の言葉を頼りに
モモを演じきった
チャンミンに
敬意と、感謝を。
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