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旧石器遺跡「捏造事件」このころの私は、強い感動と共に発見の成果を信じ込み、懐疑的に物事を見る冷静な心を失っていたのかもしれない。 「ゴッド・ハンド」と呼ばれ、藤村新一が遺跡から次々と取り出してみせた旧石器が捏造だと明らかになったのは 2000 年 10 月のことである。歴史好きの私にとって、このニュースのインパクトは大きかった。 本書を読んでいくと、考古学の発掘の手順の複雑さがよく分かる。手順が複雑であるがゆえに、発掘担当者に対する性善説で作業が回っていたようだ。このため、単純な捏造も見抜けなかったのだろう。 本書の終盤で、著者が藤村に再会した様子が記されている。この部分だけは小説めいているが、逆にその書き方がゆえに、著者や藤村が失った 10 年の歳月の重みを受け取ることができた。 ■メーカーサイト⇒岡村道雄=著/山川出版社(千代田区)/2010年11月発行 旧石器遺跡「捏造事件」 ■販売店は こちら お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.02.25 17:11:23
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