|
カテゴリ:書籍
2011 年 3 月 11 日の東日本大震災直後、9 人の著者が、私たちはどのように考え行動し、どのように生きていくかを綴った。 解剖学者の養老孟司さんは、「一連の事故の対応を見ていて、不思議に感じたのは、原発を作ってきた人に、それを大切にしようと思う気持ちはないのだろうか」(26 ページ)と疑問を呈する。混注の標本を大切にしている養老さんは、「万が一にも壊れないように箱根に持って」いっていたからだ。 歴史学者の山内昌之さんは、「都会ではどこでも自分中心の便利さを求める欲望が度を越しているのではなかろうか」(81 ページ)と指摘し、公欲のために私欲を捨てようと主張する。 禅僧の南直哉さんは、「地震や津波や原発事故の直接の被災者もそうでない者も、この惨禍がすでに「元に戻る」道を断ってしまっていることを、大なり小なり感じているだろう」(104 ページ)と述べ、「明治以来、『富国強兵』で頑張りぬいた結果は、戦争と敗戦と原爆ドームである。そのあと、『富国』にしぼって再び頑張ったら、バブル経済と大震災と原発事故である。我々の頑張り方に欠陥があることは、もう明らかだろう」(116 ページ)と問いかける。 作家の橋本治さんは、「日本はこの先、世界経済の足を引っ張ることになるかもしれない。『それでもいいじゃないか』」(171 ページ)と説く。 少子高齢化と人口減少、破滅的な財政赤字に加えて歴史的な円高。被災者の方々には申し訳ないが、大震災をきっかけに、この国の考え方そのものが変化することが求められている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.02.13 16:24:33
コメント(0) | コメントを書く
[書籍] カテゴリの最新記事
|