|
カテゴリ:書籍
著者は哲学者でアドラー心理学認定カウンセラーの岸見一郎さんと、フリーランスライターの古賀史健さん。本書はアドラー心理学者の哲人と青年の対話を通じてアドラー心理学を解説していくが、これは何年にもわたる岸見さんと古賀さんの対話の集大成なのだろう。 アルフレッド・アドラーは、フロイト、ユングと並ぶ「心理学の三大巨頭」と称されるが、わが国ではそれほど馴染みがない。実践心理学であることが、その原因かもしれない。 自分自身が変われずにいるという悩みを打ち明けた青年に対し、哲人は「われわは原因論の住人であり続ける限り、一歩も前に進めません」(28 ページ)と語り、「あなたが変われないでいるのは、自らに対して『変わらない』という決心を下しているからなのです」(51 ページ)と指摘する。 哲人は他人との比較は不要と説く。「誰とも競争することなく、ただ前を向いて歩いていけばいい」(92 ページ)、「健全な劣等感とは、他者との比較のなかで生まれるのではなく、「理想の自分」との比較から生まれるものです」。 哲人は「およそあらゆる対人関係のトラブルは、他者の課題に土足で踏み込むこと――あるいは自分の課題に土足で踏み込まれること――によって引き起こされる」(140 ページ)と説く。誰の課題かを見分ける方法はシンプルで、「その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰か?」(141 ページ)と考えれば良い。 対人トラブルを克服するには、共同体感覚が重要だという。「他者を仲間だとみなし、そこに『自分の居場所がある』と感じられることを、共同体感覚」(179 ページ)というのは受け入れやすいが、アドラーのいう共同体とは、家族や会社だけでなく、地球や宇宙、過去や未来まで含むという。青年は、宗教がかっていると批判するが、哲人は構わず議論を続ける。 最後に哲人は、人生には「目的地は存在しない」(267 ページ)と言う。生きている刹那が人生なのだと説く。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.04.17 18:41:39
コメント(0) | コメントを書く
[書籍] カテゴリの最新記事
|