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2014.04.17
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嫌われる勇気

嫌われる勇気


 あなたが変われないでいるのは、自らに対して「変わらない」という決心を下しているからなのです。(51ページ)

著者・編者古賀史健=著
出版情報ダイヤモンド社
出版年月2013年12月発行

著者は哲学者でアドラー心理学認定カウンセラーの岸見一郎さんと、フリーランスライターの古賀史健さん。本書はアドラー心理学者の哲人と青年の対話を通じてアドラー心理学を解説していくが、これは何年にもわたる岸見さんと古賀さんの対話の集大成なのだろう。

アルフレッド・アドラーは、フロイト、ユングと並ぶ「心理学の三大巨頭」と称されるが、わが国ではそれほど馴染みがない。実践心理学であることが、その原因かもしれない。
アドラー心理学は因果関係やトラウマを否定し、目的論で解釈する。たとえば子どもは親の暴力が原因やトラウマになって引きこもりになったのではなく、親の関心を引く目的で引きこもりになったと説く。

自分自身が変われずにいるという悩みを打ち明けた青年に対し、哲人は「われわは原因論の住人であり続ける限り、一歩も前に進めません」(28 ページ)と語り、「あなたが変われないでいるのは、自らに対して『変わらない』という決心を下しているからなのです」(51 ページ)と指摘する。
そしてアドラー心理学の目的論を持ち出し、「あなたの『目的」』は、『他者との関係において傷つかないこと』なのです」(68 ページ)と指摘する。これは厳しい。
アドラーが因果律を否定する背景には、「本来はなんの因果関係もないところに、あたかも重大な因果関係があるかのように自らを説明し、納得させてしまう」(82 ページ)ことが人生にとって不幸になるからだ。
さらに、「自らの不幸を武器に、相手を支配しようとする」(89 ページ)。たしかに、そういう人はいる。そういう人とは付き合いたくはない。

哲人は他人との比較は不要と説く。「誰とも競争することなく、ただ前を向いて歩いていけばいい」(92 ページ)、「健全な劣等感とは、他者との比較のなかで生まれるのではなく、「理想の自分」との比較から生まれるものです」。
哲人は自由について、「他者の評価を気にかけず、他者から嫌われることを恐れず、承認されないかもしれないというコストを支払わない限り、自分の生き方を貫くことはできない」(163 ページ)と説く。

哲人は「およそあらゆる対人関係のトラブルは、他者の課題に土足で踏み込むこと――あるいは自分の課題に土足で踏み込まれること――によって引き起こされる」(140 ページ)と説く。誰の課題かを見分ける方法はシンプルで、「その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰か?」(141 ページ)と考えれば良い。
たとえば子どもが「勉強しない」という選択肢でもたらされる結末を最終的に引き受けるのは子どもであるから、親がその課題に直接介入することは避け、援助の姿勢をとるべきだ。

対人トラブルを克服するには、共同体感覚が重要だという。「他者を仲間だとみなし、そこに『自分の居場所がある』と感じられることを、共同体感覚」(179 ページ)というのは受け入れやすいが、アドラーのいう共同体とは、家族や会社だけでなく、地球や宇宙、過去や未来まで含むという。青年は、宗教がかっていると批判するが、哲人は構わず議論を続ける。
アドラー心理学では、ほめることも叱ることもしないという。なぜなら、「人は、ほめられることによって『自分には能力がない』という信念を形成していくから」(202 ページ)だ。ほめることは他者の価値観への従属を強要するからだ。『ほめるな』(伊藤進/講談社/2005 年(平成 17 年)3 月)でも感じた、ほめることに対して感じていた違和感が氷解した。
共同体感覚をつくるには、横の関係が重要であり、他人をほめたり叱ったりするのではなく、感謝の気持ちを伝えること。

最後に哲人は、人生には「目的地は存在しない」(267 ページ)と言う。生きている刹那が人生なのだと説く。
これが実行できたとき、自分探しの旅から卒業し、真の共同体の仲間入りを果たすのだと感じた。
これまでアドラー心理学を知らなかったが、仕事に追われて刹那的になり、「誰のため/何のため」という意識がなくなった瞬間、アドラーが説く幸福を感じることがある。矢吹丈が白く満足した微笑みを浮かべた、あの瞬間に似ている。










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最終更新日  2014.04.17 18:41:39
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