ぱふぅ家のサイバー小物

2014/08/25(月)19:34

【ウーマン・リブとオタクの関係】魔女の世界史

書籍(883)

魔女の世界史  〈魔女〉は、現実に閉ざされている私たちに、別世界への旅をかき立ててくれる。(278ページ) 著者・編者海野弘=著出版情報朝日新聞出版出版年月2014年7月発行 著者は、平凡社『太陽』編集長を経て、幅広い分野で執筆活動を行う海野弘さん。海野さんは、魔女狩りの時代の魔女と一線を画し、「19 世紀末に魔女が見えるものとなった」(28 ページ)という仮説を立てる。人々は、近代に入り科学の明かりに照らされた都市の裏に、何かあるのではないかという疑念を感じる。かつて太陽の光が届かない森の奥深くに魔女が住んでいたように、都市の裏にも魔女が住んでいるのではないか。メディアが過去の魔女の情報を集め、その情報が拡散し、近代の魔女が形作られていく。中世の森のようなゴシック建築は、魔女と相性がいい。女性作家が書く非現実なゴシック文学は新しい魔女を生み出し、ゴシックロリータが流行る。第1章の最後では「世紀末魔女図鑑」として、サロメ、リリス、メディア、ユーディット、スフィンクス、メデューサ、イヴ、キルケ、等々を挙げている。彼女たち全ての名前を記憶している自分は、いかに世紀末オカルト・オタクであるかを再認識させられた。魔女とオカルトはセットで現れるのだ。20 世紀に入り、「〈ウーマン・リブ〉と新魔女運動は重なっている」(111 ページ)という。ニューエイジや SF と魔女の関係について、ヨーロッパを中心に詳しく紹介している。海野さんは、1970 年代のパンクから始まった〈ゴス〉は、1995 年(平成 7 年)に入ってサブカルチャートなり公民権を得たと指摘する。さらに、「〈ゴス〉はメイクやファッションを通して、魔女になる術を教えたのだ。そして日本では〈ゴスロリ〉という魔法少女たちが生まれた」(208 ページ)という。ただし、「〈オタク〉は男性中心で、〈ゴス〉を支える女性をカヴァーできない」(251 ページ)とも指摘する。最後に、アニメの魔法少女たち、AKB48、きゃりーぱみゅぱみゅ、初音ミクなどを魔女として紹介しているが、考察がやや弱いように感じられた。海野さんは最後に、現代に魔女が横行する背景として、別世界に飛び立ちたいという願望から魔女がもてはやされる一方、敵を魔女として投影することで差別論に繋がるとしている。いずれにしても、インターネットがサブカルチャーであった魔女をメジャーにしたことは確かである。そして、腐女子が真の魔女なのではないかと感じる次第(笑)。

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