ぱふぅ家のサイバー小物

2016/01/02(土)21:56

【モノづくりの魂】下町ロケット

書籍(883)

下町ロケット どんな会社も設立当初から大会社であるはいすはない。(254ページより)著者・編者池井戸潤=著出版情報小学館出版年月2013年12月発行著者は、慶應義塾大学文学部・法学部を卒業して、銀行に入行したものの、独立してビジネス書や税理士・会計士向けのソフト監修をしていたという変わり種作家の池井戸潤さん。本書で第145 回直木賞を受賞した。タイトルから町工場の技術ドラマかと思いきや、中小企業の経営、特許訴訟など、池井戸さんの経験に裏打ちされた、リアルで日本を元気にするような話になっている。ロケット打ち上げに失敗した佃航平は、研究者の道を諦め、家業の町工場・佃製作所を継いだ。そんなある日、ライバルのナカシマ工業から特許侵害で訴えられる。悪い噂がたち、次々に顧客を失ってゆく佃製作所。資金繰りがショートしそうになったが、銀行から出向できていた殿村直弘が立ち上がる。離婚した妻が、特許に詳しい神谷修一弁護士を紹介してくる。辛くも危機を脱した佃製作所の前に立ちはだかったのは、新型ロケット打ち上げを担う巨大企業・帝国重工だ。帝国重工の財前道生から特許譲渡を持ちかけられるが、佃は「知財ビジネスで儲けるのはたしかに簡単だけども、本来それはウチの仕事じゃない。ウチの特許は、あくまで自分たちの製品に活かすために開発してきたはずだろう。いったん楽なほうへ行っちまったら、ばかばかしくてモノ作りなんかやってられなくなっちまう」(226 ページ)と言い放つ。水原重治や富山敬治の嫌がらせにも、佃は地道に真摯に対応し、帝国重工と対等に渡り合う。そして、帝国重工の藤間秀樹社長と佃には意外な接点が――佃製作所が修めたバルブを載せた帝国重工の新型ロケットの打ち上げが迫る。次から次へと佃製作所に迫る危機を、社員と一丸となって解決していく佃航平は、ヒーローでもリーダーでもない。くそ真面目にモノ作りをしている、われわれ日本人の根っこの部分を投映したキャラクターである。

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