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カテゴリ:書籍
テレビのコメンテーターや、ツイッターで入ってくるメッセージに違和感を覚える。こういうとき、しっかりした哲学を持っていないと、状況に流されかねない。まずは、ニーチェの復習だ――というわけで、怒れる哲学者、中島義道さんの作品を読むことにした。 中島さんは、弱者をこう定義する――「弱者とは、自分が弱いことを骨の髄まで自覚しているが、それに自責の念を覚えるのでもなく、むしろ自分が弱いことを全身で『正当化』する人」(10 ページ)。 中島さんは、「いつの時代においても、けっして自己批判をしない。『みんな』と同じ行動をとることに一抹の疑問も感じない」(140 ページ)といい、「こういう「幻想的平等主義」を教え込んだ張本人がいる。それは、自分は穴に隠れてこそこそ大衆を操作している卑劣きわまりない毒蜘妹たち」(133 ページ)と指摘する。ニーチェが言うタラントゥラである。「テレビの恐ろしさは、これほどの、まさに全体主義国家顔負けの『規制』がかかりながら、視聴者のほとんど(すなわち善人)にそれを気がつかなくさせてしまうことである」(13 ページ) 本書は哲学書である。ハウツー本のように答えが書いてあるわけではない。読了して、感じたこと、考えたことは十人十色だろう。だが、それで良いのだ。その時点で、「『みんな』と同じ行動をとることに一抹の疑問も感じない」善良な弱者からは卒業である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.05.05 13:02:56
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