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カテゴリ:書籍
著者は、明星大学経済学部教授で、中小企業や地方創生に関する活動や著作が多い関満博さん。 冒頭で、わが国の製造業事業所が 1986 年の約 87 万 4 千をピークとして、2016 年には約 45 万 4 千に半減していることを指摘する。わが国は 2008 年を境に人口減少時代となり、2015 年には 4 人に 1 人以上が高齢者となった。高齢化率は、欧米や中韓と比べても極端に高い。そんな中、起業は停滞し、廃業が増加している。 わが国には、企業を支援するインキュベーション施設やマネージャがいる。第2章では、既存事業部門でインキュベーションを用いて起業した事例を見てゆく。モノづくりのためには複数の企業が連携することが不可欠だが、リーマンショックで倒産した企業を再生させた例もある。 第3章では、新たな事業分野に踏み込む創業企業として、IT 分野や大学発ベンチャー、農業・水産業周辺の取り組みを見てゆく。 第4章は事業承継だ。身近でも承継できずに廃業する中小企業が後を絶たない。「中小企業の約 3 分の 1 には承継の候補者がいないとされている」(144 ページ)という。これは大問題だ。 第5章では、人口減少・高齢化といった国内環境の変化、海外生産へシフトしている製造業のトレンドを踏まえ、あらたなビジネスモデルを展開した事例を見てゆく。ピンチはチャンスと言われるが、その通りである。 終章では、ニクソン・ショック以前の固定相場制でわが国の製造業が活況を呈したこと、ニクソン・ショックの直後に返還された沖縄は工業化の契機をつかめなかったことに触れ、1985 年のプラザ合意以降の円高でバブル経済が勃発したこと、その後、中国・アジアの存在感が大きくなったと振り返る。 さて、地球上の生物は、何度かの大絶滅を超え、あらたな進化を見せ、空席になったニッチを埋めるように反映してきた。会社もまた生き物である。廃業が続くのは一時的なことで、ヒトがいる限り、ニッチを埋める事業が登場するであろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.10.11 12:11:52
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