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著者は、価格リサーチの専門家で、認知・行動経済学者でもあるリー・コールドウェルさん。副題に「なぜ、カフェのコーヒーは『高い』と思わないか」とあるように、消費者心理の側面から製品・サービスの価格決定プロセスを見直す。 冒頭、新製品チョコレートポットの価格を考える。もしスーパーでティーバッグの隣に並べると、ティーバック 1 個やコーヒー 1 杯分の値段と比較されるから 4 円から 14 円の間、も湾れたての力プチーノの隣に並べると 1 個 400 円でも抵抗なく払うだろう。つまり、「競合相手が変われば価格領域も違う。したがって、競合相手の選択と、それにあわせたポジショニング次第では、まったく違う価格設定ができる」(24 ページ)というのだ。 第2章では原価計算の、第3章では需要曲線の問題点を指摘する。たとえば、「商品やサービスを提供するための原価を出せば、設定できる最低価格はわかるが、それが適正価格というわけではない」(26 ページ)など。これは、目から鱗であった。 第13章では無料商品・サービスを取り上げる。無料は魔法の言葉だが、「無料サービスが最大限の効果を発揮するのは、顧客があまり重視していない価値を対象にした場合」(196 ページ)と前置きをした上で、無料商品と有料商品のパッケージ販売や、有料商品の購入を条件とする無料商品の提供は、有料商品の効果的な PR になるという。 原価積み上げで価格決定してきた身からすると、いかさまのようにも感じるが、これが本当の「マーケティング」なのだろう。開発者や製造者の視点で価格決定に絡まない方がいいのかもしれない。
最終更新日
2018.10.12 12:02:05
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