|
カテゴリ:書籍
著者は、東京大学哲学科を卒業し、Z 会で国語や小論文の編集を担当した経験のある斎藤哲也さん。 まず、森羅万象を神話(ミュトス)ではなくロゴスで合理的に説明しようとした古代ギリシアのタレスから始まる。ペルシア戦争で活躍した都市国家アテナイでは、民主主義の下、弁論テクニックを教えるソフィストが重用された。これに、ソクラテスが「無知の知」で挑む。この部分には、現代のプピュリズム問題を重ね合わせて読んだ。そして、プラトン、アリストテレスへと続く。 キリスト教がローマ帝国の国教として認められ、新プラトン主義を知ったアウグスティヌスは神への信仰とをいた。その後、西ローマ帝国は滅亡し、プラトンのアカデミアやアリストテレスのリュケイオンは異端として、キリスト教圏から追放されイスラム圏へと伝わる。 ルネサンス時代に入ると、大陸ではベーコン、デカルト、スピノザ、ライプニッツが原理を重視する一方、イギリスではロック、バークリー、ヒュームらが経験論を展開した。大陸では、カトリックとプロテスタントが争い宗教改革や三十年戦争が起きたことが背景にある。400 年前、イギリスのヒュームは、相関関係と因果関係の差異を明らかにした。 カントは、いくら外見上は道徳的な行為に見えても、そこに善をなそうという意志が伴わなければ、道徳的な行為とは見なせないとした。 キルケゴールを先駆とする実存主義は、20 世紀に入り、サルトルによって世界を席巻する。サルトルは、「つねに現在の自分を否定して、未来に向かって新しい自分をつくりあげていくことができるのが人間」(235 ページ)とした。 古代ギリシアから現代までの哲学を超特急で縦覧したわけだが、哲学は歴史から影響を受けている。ということは、現代史の中を生きている我々もまた、哲学と無縁でいられるわけではない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018.10.16 12:10:54
コメント(0) | コメントを書く
[書籍] カテゴリの最新記事
|