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カテゴリ:書籍
著者は、理論物理学者でカトリック教会の助祭でもある三田一郎さん。コペルニクスに始まる科学革命以降の科学史を追いながら、科学者の神に対する考え方の変遷を見てゆく。 三田さんは、「聖書には、天動説が正しいとか、地動説が誤っていると明らかに読めるような記述はない」(45 ページ)と前置きし、コペルニクス、ティコ・ブラーエ、ケプラー、ガリレオの 4 人の天文学者の功績と信仰を紹介する。コペルニクスがカトリックの司祭であることは有名だが、他の 3 人も敬虔なキリスト教徒だった。神が創造した宇宙は美しいものであるべきで、だから彼らは、周転円のような複雑怪奇な仕組みを必要としない地動説を支持した。 19 世紀半ば、ダーウィンの進化論は、科学者たちの考えを変えた。造物主としての神の御業に疑問を抱く科学者が現れはじめたのだ。その一人がアインシュタインであった。アインシュタインの相対性理論によって、「この世界で絶対のものは光速だけであり、時間は遅れるし、空間は歪んでいる。もはや、聖書に記されているような絶対的な神が存在できる場所など、どこにもなくなってしまった」(157 ページ)。 量子力学の時代、ディラックは「神はきわめて高度な数学者であり、彼は宇宙の構築に、この非常に高度な数学を用いたのだ」(221 ページ)と書き残している。 最終章で、三田さんは自信が神を信じる背景を語る。宇宙誕生時に物質が反物質よりわずかに多かったから現在の宇宙が存在しているのであり、そこに神の存在を感じるという。 やや神様贔屓であると感じるが、「不思議な現象に出会ったときに最初から『神様がお作りになったのだ』と言う人は、絶対に科学者ではありません」(262 ページ)という主張には同感である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.01.21 12:02:16
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