 | 第一発言者「〈セルダン・プラン〉は完全でもないし、正確でもない。そうではなくて、その時になしえた最善のものにすぎない」(163ページ) |
| 著者・編者 | アイザック・アシモフ=著 |
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| 出版情報 | 早川書房 |
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| 出版年月 | 1984年12月発行 |
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1 万 2 千年続いた銀河帝国は崩壊しつつあった。このことに気づいたハリ・セルダンは、心理歴史学を応用し、帝国崩壊後の 3 万年間の暗黒時代を 1 千年に短縮すべく、2 つのファウンデーションを設立した。その一方は、銀河系の辺縁にある惑星ターミナスに置かれ、人々は銀河百科事典の編纂者として働いた。ファウンデーションは経済を発展させ、ついに帝国軍を退けるほどに成長した。だが、ファウンデーション設立から 300 年後、心理歴史学が予見できなかった突然変異体ミュールが現れ、第一ファウンデーションは敗れ去った。ミュールは、銀河征服の障害となる第二ファウンデーション探索に乗り出す――。
カルガンを本拠地にしたミュールは、ハン・ブリッチャー将軍に第二ファウンデーション探索を命じた。ミュールの精神操作を受けていないベイル・チャニスが同行することになった。2 人は、まず農業惑星ロッセムへ向かった。チャニスは、ロッセムを支配しているタゼンタが第二ファウンデーションだと考えていた。
ミュールが 2 人の前に現れ、チャニスが第二ファウンデーション員であると指摘する。ミュールの艦隊はタゼンタを攻撃し、廃墟にしていた。そこへ第二ファウンデーションの第一発言者が現れる。
第一発言者は、第二ファウンデーションがミュールと同じように精神操作能力をもつ集団であること、そしてカルガンを支配下に収めたことをミュールに告げる。敗北を悟ったミュールは心を開き、第一発言者は彼の心を修正した。ミュールは精神作用力とその帝国を保持するが、平和愛好家に転向し、あと数年の寿命を全うすることになるだろうと、第一発言者は告げた。そして、第一発言者とチャニスは第二ファウンデーションへ帰還する。
ファウンデーション設立から 376 年が過ぎた。
第二ファウンデーションでは、12 代目の第一発言者が学生を教えていた。心理歴史学は精神科学の発達したものであること、セルダン・プランが完全ではないこと、来るべき第二帝国は心理学者のグループによって指導されるものであること。そして、それまで第二ファウンデーションの存在を隠し続けなければならないこと。
14 歳の少女アーカディア・ダレルは、惑星ターミナスで小説家を目指していた。彼女の父トラン・ダレル博士はベイタ・ダレルの息子で、第二ファウンデーションが第二帝国の支配層になることを危惧していた。彼の協力者で電気神経学を学ぶ学生ペアレス・アンソーアは、電子脳写を使って第二ファウンデーションによる精神操作の痕跡を突き止めた。
ダレル博士は、第二ファウンデーション探索のため、図書館員ホマー・マンを惑星カルガンへ派遣する。マンが乗った宇宙船にはアーカディアが密航していた。
2 人は、ミュール亡き後の惑星カルガン君主で第一市民を名乗るステッティン卿に囚われる。アーカディアは、ステッティン卿の愛人レヴ・メイルスの手引きで宮殿を脱出し、宇宙空港へ向かった。彼女はトランター農協の貿易代表プリーム・パルヴァーに助けられ、生まれ故郷のトランターへ向かう。かつての首都惑星は、表面を覆っていた金属の殻を売って穀物の楯や家畜を買い、いまは農業惑星となっていた。
そんな中、カルガンとファウンデーションの間で戦争が始まった。敗戦続きだったファウンデーションだが、クォリストンの戦いに勝利し、ついにカルガンを退ける。
パルヴァーはターミナスを訪れ、ファウンデーションと農業協定を結ぶとともに、アーカディアのメッセージをダレル博士に届けた。ステッティン卿から解放されたマンもターミナスへ帰還した。
マンは「第二ファウンデーションは存在しないのですよ!」と主張したが、電子脳写によって彼が操作を受けていることがわかった。ダレル博士はアーカディアから「円には端がない」というメッセージを受け取っており、第二ファウンデーションがターミナスにあることを確信した。そして、第二ファウンデーションの力を封じる精神空電装置を開発し、彼らを逮捕した。ファウンデーションは第二ファウンデーションに勝利したのだ。
だが、それも第二ファウンデーションによる巧妙な隠蔽工作だった。位置不明の世界の、位置不明の部屋で、第一発言者は巨大な銀河を見上げながら学生に語る――ハリ・セルダンが〈星界の果て〉と呼んだのは詩的でいいじゃないか――。
銀河帝国興亡史の第1 巻は大河小説、第2 巻はミステリー小説、そして第3 巻はアニメ原作ノベルである――精神操作能力をもつ異能力バトルに介入した 14 歳の少女が銀河の運命を握る――(笑)。ちなみに、第2 巻までは株式会社サイドランチによってコミカライズされている。
時間を 40 年余り遡る。私は、銀河帝国興亡史 3部作を読み終わってしばらく後、ローマ・クラブの『成長の限界』(1972 年)を読んだ。当時の統計データをもとに、システムダイナミクスの手法を使って未来予測したもので、人口増加や環境汚染などの現在の傾向が続けば、100 年以内に地球上の成長は限界に達すると結論づけている。
だが、『成長の限界』は技術的なブレークスルーを考慮していない。これはセルダン・プランも同じで、第2部に登場する電子脳写は銀河帝国時代になかった技術である。
銀河帝国興亡史は、純粋理系の私に歴史を学ぶことの楽しさを教えてくれた。そして、『成長の限界』に述べられているシステムダイナミクスをパソコン上でプログラミングしたところから、IT 技術者としての道を歩み始めた。今日の私を構成している知識・経験は、銀河帝国興亡史に触発されて積み上げてきたものと言える。
幼い頃は、原子力飛行機や原子力ロケットが飛び回る絵本を読んだ。
その後、原子力船「むつ」の放射線漏れ事故やスリーマイル島原子力発電所事故があった。それでも私は、人類の技術力を信じ続けた。
幼い頃に読んだ絵本のようなバラ色の未来は、たぶん来ないだろう。それでも、生活を豊かにしてくれる技術開発に貢献したい――それが、終生変わらぬ私の“願い”である。そして、近い将来、心理歴史学を生み出すであろう数学の忠実な僕であり続けるだろう。
