ぱふぅ家のサイバー小物

2020/08/28(金)12:23

【ガイア理論】銀河帝国興亡史4 ファウンデーションの彼方へ(下)

書籍(883)

銀河帝国興亡史4 ファウンデーションの彼方へ(下) ペロラット「人間は自分たちが隣人より優れていると、頭からきめてかかる傾向がある。自分たちの文化は他の世界のものよりも古くて卓越していると。他の世界のよいものは、自分たちの所から借りていったものであり、一方、悪いものは借用に際して歪んだか堕落したものであり、でなければ、よそで発明されたものだと。そして、質の優越性の優越性を同一視する傾向がある」(60ページ)著者・編者アイザック・アシモフ=著出版情報早川書房出版年月1996年7月発行シリウス星区に祖先をもつマン・リ・コンパーは、地球全体は放射能を帯びており生命が存在しないという物語をゴラン・トレヴィズとジャノヴ・ペロラットに語った。コンパーの正体は、第二ファウンデーションの「観測者」だった。トレヴィズが不十分と思われるデータから正しい結論に到達する神秘的な能力があると考えたコンパーは、そのことを若き発言者ストー・ジェンディバルに報告した。第二ファウンデーションを離れたジェンディバルはスーラ・ノヴィをともない、3 人がいるセイシェルへ向かっていた。トレヴィズとペロラットは、セイシェル大学古代史学部のソテイン・クィンテゼッツ・アブトに会い、地球人がロボットを考案したことを知る。地球人はロボットの力を借りて、セイシェルへ植民したという。そして、ミュールですらガイアに手出しをしなかったと告げる。ファースター号はガイアへ向かった。彼らの動向を知ったハーラ・ブラノ市長は、公安部のリオノ・コデルをともないガイアへ出発した。ファースター号はガイアをめぐる宇宙ステーションに補足され、ブリスという女性に案内され、ドムと呼ばれる老人に会合する。ドムはロボット工学の三原則について語り、あるとき、ロボットたちはテレパシー能力を身につけたという。そして、ロボットが〈永遠人〉になったという。また、ミュールがガイアの 1 人であったことを告げ、ガイアがトレヴィズを呼び寄せたのだという。トレヴィズとペロラット、ジェンディバルとノヴィ、ブラノとリオノがガイアに集結した。ノヴィが本来の姿を現し、トレヴィズの決断を待った。第二帝国は、ターミナスが握るか、第二ファウンデーションが握るか、それともガイアが握るのか。トレヴィズはコンピュータに触れ、決断を下した――銀河系の運命のかかる決断を。そして、トレヴィズの手には未解決の問題が残った――。銀河帝国興亡史 3部作から 30 年ぶりに書かれた続編。同じアシモフの SF であるロボット・シリーズはもちろん、『宇宙の小石』『暗黒星雲のかなたに』『宇宙気流』『永遠の終り』のエピソードがちりばめられており、ファンとしては嬉しい限り。そんなファンの声に支えられて、本書はアシモフ 263 冊目の著作にして、はじめてのベストセラーとなった。ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー・リストに 25週にわたって載り続けたことは、『ファウンデーションと地球』の前書きにあるとおりだ。早川書房から翻訳版が出版されたのが 1984 年で、初めてリアルタイムに銀河帝国興亡史を読むことになった。後半に登場する惑星ガイアは、1960 年代に登場したガイア理論の産物だが、本書と同じ年にジェームズ・ラヴロックの『地球生命圏 - ガイアの科学』が翻訳されており、1990 年に入るとゲーム「シムアース」が登場するなど、認知度を高めている。コンピュータの役割も強調されており、ちょうどプログラミングを始めた私にとって、記憶に残る作品となった。ペロラットが地球の伝説について語る――「人類学ではそれを“地球中華思想”(グロポセントリズム)と呼ぶ。人間は自分たちが隣人より優れていると、頭からきめてかかる傾向がある。自分たちの文化は他の世界のものよりも古くて卓越していると。他の世界のよいものは、自分たちの所から借りていったものであり、一方、悪いものは借用に際して歪んだか堕落したものであり、でなければ、よそで発明されたものだと。そして、質の優越性の優越性を同一視する傾向がある」(57 ペ-ジ)、「地球の表面でかね? そんなことはありえない。戦の武器として核爆発を使うほど愚かな社会など、銀河系の歴史には記録されていない。そんなことがあったとしたら、われわれは決して生き延びていないだろう」(60 ページ)――アシモフの死語28 年を経てもなお、私たちは死者の手のひらの上で踊らされているようだ。36 年ぶりに読み返してみると、私はペロラットの年齢を通り越してしまった。これまで、いろいろな経験をさせてもらったが、技術が人類の未来を切り開くという“願い”だけは当時と変わっていないことを確認できた。

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