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カテゴリ:書籍
著者は、慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室の教授、宮田裕章さん。専門のデータサイエンスを駆使し、厚生労働省の「新型コロナ対策のための全国調査」の分析結果を発表するインパクトのあるファッションからスーパーサイヤ人とも――。 私は功利主義の立場にあるが、宮田さんが提唱する、データの利活用によって多元的な価値への対応を可能にする「データ共鳴社会」=「最大“多様”の最大幸福」に“共鳴”する。 宮田さんは医師ではないが、慶應義塾大学医学部の教授として、臨床現場と連携して手術症例を分析するデータベース「NCD」を開発、運営しており、解析結果を臨床現場へとフィードバックすることで、医療の質を底上げしようとしている。その経験から、「データと言うと『監視社会』とか『AI に支配される』といったネガティブな側面が想起されがちです。しかし、データを『人間』や『命』に関わる分野で活用した場合にも、こうしたポジティブな価値が生まれる」(98 ページ)という。 宮田さんは、データでつながる世界では、well-being のもう 1 歩先の世界観が必要という。それは、「自分 1 人が幸せなら OK」ではなく、「こうすればみんなが幸せだよね」という社会善的な価値観が重要になるからだ。宮田さんは、それを「Better Co-Beging(生きるをつなげる。生きるが輝く)」と定義する。 宮田さんは最後に、格差問題を克服した資本主義大国アメリカ、社会信用スコアの評価基準をオープンした中国、多層型民主主義を成長させた日本――そのどれもが、新しい豊かさを生み出すことができる可能性があると結んでいる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.05.15 12:09:21
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