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カテゴリ:書籍
2021年2月15日、「カムイ伝」など忍者を扱った劇画作品で人気を博した漫画家の白土三平さんが逝去した。『カムイ伝』を連載する場として、長井勝一さんが1964年に興した漫画雑誌『ガロ』の編集者として4年間、青林堂に勤めた権藤晋さんが著した本書を読み返した。権藤さんが『ガロ』に携わった1966年9月から1971年12月までと、その後、自らが立ち上げた漫画雑誌『夜行』に掲載した漫画家の思い出が綴られている。登場する漫画家は――白土三平、水木しげる、つげ義春、滝田ゆう、つげ忠男、池上遼一、佐々木マキ、林静一、鈴木翁二、三橋乙耶、石井隆、菅野修、伊藤重夫、羽鳥ヨシュア、湊谷夢吉、そして、評論家の石子順造――その多くが鬼籍に入られた現在、コロナ禍の不安が蔓延する中、『ガロ』の時代を思い起こしてみたい。 前述の通り、1964年7月、白土三平の「カムイ伝」を柱に、まんが家登竜門の月刊誌として『ガロ』が創刊された。 つげ義春さんの弟、つげ忠男さんが『ガロ』に作品を発表しつづけた3年間は、ベトナム反戦運動や70年安保で社会が騒然としていた時代だ。遡れば、1966年、白土三平ファンだった権藤さんが青林堂に入社するとき、「社員にしてくれないと社屋に火をつける」と言い放ったのも、当時の世相が為せる技だろう。 権堂さんは、全共闘世代は〈死〉の観念に強く支配されていたと指摘する。『ガロ』の漫画家たちは、あまり酒は飲まない、群れることを好まない。後年、『ガロ』がマスコミで取り上げられることはあったが、1997年に休刊するまで、オンタイムで読んだ人はどのくらいだろうか。私にしても、10冊も読んで記憶がない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.02.11 11:55:31
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