| 常識とは、基本的に偏見かもしれないという懐疑的な視座を忘れずに、パラダイムに挑戦し、革新をもたらすこともまた進歩のルール。その視座からしてみれば、自分が憂欝な気分になるというのも軍事的観点からすれば非合理と言えなくもないという事も理解はする。(18ページ) |
著者・編者 | 篠月しのぶ=著 |
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出版情報 | KADOKAWA |
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出版年月 | 2014年11月発行 |
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ターニャ・デグレチャフ少佐が率いる第203航空魔道大隊から選抜した12人は、アーデルハイト・フォン・シューゲル主任技師が開発した強行偵察用特殊追加加速装置 V-1に乗り込み、マッハ1.5のスピードでライン戦線を飛び越え、敵司令部の直接攻撃する〈衝撃と畏怖〉作戦を完遂する。帝国軍最高統帥会議に首席していたハンス・フォン・ゼートゥーア少将は、「既に、第一段階作戦により敵指揮系統を我が軍は撃滅いたしました。どうぞ、更なる続報をお待ちください」と宣言する。
共和国軍前線に酒を届けようとしていた航空魔導士のセヴラン・ビアント中佐は、前線で起きた大規模爆発を目撃し、司令部が壊滅したことを知る。これが帝国軍の〈解錠作戦〉だった。
潜水艦内で一夜の宿をとったターニャらは、ライン戦線の残敵掃討に出発する。途中、サー・アイザック・ダスティン・ドレイク中佐が率いる連合王国の航空魔道大隊と遭遇し、これを撃退する。
一方、帝国軍は共和国首都パリースィイに進駐し、対共和国戦争は終わったかに見えた。だが、共和国のド・ルーゴ少将はビアント中佐と合流し、ブレスト軍港から残存兵とともに南方大陸へ脱出した。これを知ったターニャは、戦争を終わらせるべく V-1での出撃を進言するが、停戦命令が出てしまう。
第203航空魔道大隊は休暇に入るが、ターニャは一人、帝都へ向かい、ゼートゥーア少将に進言しようとするが、酒宴にうかれて空っぽになった参謀本部を見て愕然とする。
とある次元、とある存在領域で、天使たちが策動していた。その頃、ターニャとの戦いで戦死したアンソン・スー大佐の娘メアリー・スーが合衆国軍に志願する。
ゼートゥーアとクルト・フォン・ルーデルドルフは中将に昇進するが、共和国残党が自由共和国軍を称して南方大陸の植民地で抵抗運動を開始したことに頭を痛めていた。
第203航空魔道大隊に、南方大陸のロメール軍団長の指揮下に入るよう転属命令が下る。ターニャはロメールと意気投合し、ド・ルーゴ少将の司令部の急襲に成功する。
そして、連合王国は帝国に宣戦布告する。
アニメ第1期の第10話~第12話に相当する。南方戦役は「砂漠のパスタ大作戦」から劇場版へと続くところで少しだけ触れられている。
アニメにおける解錠作戦は、絶妙なカット割りで、映像と音声の迫力を際立たせた。また、停戦命令後にターニャとレルゲンが静かに語り合うオリジナル・シーンも印象的だった。
ターニャはレルゲンに「いかに近代化が進もうとも、いかに社会規範が浸透しようとも、人は時として合理性よりも、感情を優先する愚かな存在である。憎悪に囚われた人間は、打算も合理性も、損得さえも抜きに、どこまでも抗い続けます。憎悪の火は、全て消し去らねばならない」と語る。合理性を信条とするビジネスマンのターニャの本心がよくあらわれている。
だが、この信条が、次の連邦との戦いで仇となる――。