 | 双葉理央「私だったら、恥ずかしくて死んでる。さすが梓川、青春ブタ野郎だね」 |
| 著者・編者 | 溝口ケージ=著 |
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| 出版情報 | KADOKAWA |
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| 出版年月 | 2014年4月発行 |
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著者の鴨志田一は、2007年に電撃文庫の『神無き世界の英雄伝』でデビューし、2010年の『さくら荘のペットな彼女』はアニメ化され、自らが脚本として参加した。また、アニメ『selector spread WIXOSS』『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』などに脚本として参加している。本作も2018年からアニメ化され、シリーズ継続中。
挿絵の溝口ケージは、同じ原作者の『さくら荘のペットな彼女』の挿絵も担当。「NtyPe」というサークル名で同人活動も行っている。
ゴールデンウィークの最終日、梓川咲太は、湘南台駅の近くにある図書館で野生のバニーガールに出会う。彼女はただのバニーではない。咲太の高校の上級生にして、活動休止中の人気タレント桜島麻衣だった。だが、彼女の姿が周囲の人間に見えないという不思議な現象が起きていた。
下校時の電車の中で、麻衣を盗撮しようとしていたカップルを、咲太は身体を張って制止する。それをきっかけに、麻衣は咲太と会話するようになる。
麻衣は、咲太が中学時代に暴力事件を起こして、同級生3人を病院送りにしたというネット情報をつかんでいたが、「自分の頭で少し考えればわかるでしょ。そんな大事件を起こした人間が、平気な顔して高校に通えるわけがない」と言う。咲太は、「どの道、誰が言い出したのかもわからない、噂や書き込みを、何も考えずに信じてしまえるピュアな連中とは、友達になる自信がないからいいんです」と応じる。
一方の麻衣は、自分の姿が周囲の人間に見えないという現象はゴールデンウィーク初日からはじまったという。麻衣は「今までずっと人に注目されて生きてきたのよ? 人目を気にして生きてきた。だから、子供の頃ころからずっと願ってた。誰だれも私のことを知らない世界に行きたいって」と言い、咲太に関わらないよう警告する。だが、咲太は麻衣の話を信じ、「思春期症候群ですよね」と言う。
麻衣を自宅マンションに招いた咲太は、学校でイジメにあっていた妹のかえでの写真を見せ、彼女の身体に、突然、傷や痣ができることを話した。そして、咲太の胸にも3本の傷ができていた。
咲太は麻衣に芸能界復帰を促すが、麻衣は怒って出て行ってしまう。咲太は麻衣に謝ろうとするが、彼女の姿を見つけることができないまま2週間が過ぎた。
咲太は。白衣を着て物理実験室でアルコールランプを弄んでいる双葉理央に助けを求める。人が見えなくなる現象を話し始めると、理央は「さすが梓川、ブタ野郎だね」と言う。理央は量子力学を引き合いに出し、「人間は見たいようにしか世の中を見ていない。梓川の噂がいい例だよ。真実よりも、噂が優先される」と説明する。
咲太のバイト先のファミレスに、イジメ事件で取材を受けたことがある女子アナの南条文香が来店しており、咲太は自分の胸傷の写真と引き替えに、麻衣が芸能活動を休止している理由を手に入れた。
咲太のマンションの部屋の前で麻衣が待っていた。自分を見えない相手が増え、買い物もできずに困っているという。彼女とスーパーで買い物をした咲太は、「やりたいなら我慢なんてしなければいい。やればいい」と芸能界復帰をすすめる。
咲太の話を理解した麻衣は、彼が代価として差し出した写真の公開を止めるよう文香に釘を刺す。
麻衣は咲太と鎌倉でデートすることになる。藤沢駅へ向かう途中、咲太は迷子の女の子を助けようとして、彼を変質者と勘違いした古賀朋絵に蹴りを入れられる。
1時間38分も遅刻した咲太を、だが、麻衣は待っていた。麻衣は、なぜ自分を構うのかと咲太を問い詰め、かえでが思春期症候群になったとき、誰も目の前で起きていることを信じてくれなかったことから「困ってるのに、誰にも頼れないのはしんどいから」という答えを引き出す。咲太の母は、かえでの問題で精神を病み、父親と別のところで暮らしているという。そんなとき、咲太が言う思春期症候群の話を信じてくれた牧之原翔子という女性があらわれる。彼女は峰ヶ原高校の制服を着ていたが、そこへ進学した咲太は牧之原翔子という生徒が、過去にも現在にも存在していなかった事実を知る。
鎌倉へ行かずに七里ヶ浜の海外を歩いていた2人だが、麻衣のスマホに絶縁しているマネージャの母親からのメールが入る。間もなく母親がやって来た。だが、彼女には麻衣の姿が見えていなかった。咲太が割って入るが、彼女は娘などいないと言い、麻衣が返信したはずのメールには差出人不明となっていた。
咲太と麻衣のに絶望感が襲いかかる。人々の記憶から桜島麻衣が居なくなっていた。麻衣を記憶している人を探し、2人は大垣まで来ていた。2人はビジネスホテルに泊まる。咲太は国見と理央に電話すると、2人も麻衣のことを覚えていた。咲太は理央に事情を説明すると、理央は峰ヶ原高校に原因があるのではないかと推論する。
果たして、麻衣を全ての人の記憶から消し去った思春期症候群の原因とは。2人の愛の行方は‥‥。
理央は咲太に向かって、「私だったら、恥はずかしくて死んでる。さすが梓川、青春ブタ野郎だね」と真顔で言うのだった。
