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2007/06/13(水)09:41

日本人は不公平が大好き

株式投資(74)

日本人は「不公平」が大好きです。 「格差問題」と騒いでいても、下流階層の人は我慢しようとしてしまうし、上流階層(という言葉がよいのかわかりませんが)の人は優越感にひたろうとします。 日本人が「不公平」をもっとも維持しようとしている分野が教育分野でしょう。 その代表例が、高校野球の特待生問題と全国学力テスト問題です。 日本の世論は、ほかのスポーツが全部特待生を認めているのに、どうして高校野球だけ認めないのか、野球の素質のある子どもにはお金を出して素質を開花させるべきだ、と、言います。 なぜ、野球だけ特待生を認めないのか、と、言えば、プロ野球がビジネスとして成立しているからです。 特待生を認めれば、高校野球はプロ野球商業主義(これ自体は否定しませんが)の下部機関になり果てるでしょう。 大して野球もうまくないけれど、公立高校で、甲子園を目指して、日々、学業と練習とを両立させている高校生が全国にはたくさんいます。 日本人は、こうした純粋な想いで野球に打ち込んでいる高校生の夢を全く無頓着にぶち壊そうとするのです。 慶応大学野球部のブログを見ると、神宮球場で優勝をかけて闘いながら、中心選手でも、試験勉強も頑張っているし、学費を稼ぐためにアルバイトも続けているということがわかります。 なのに、日本人は、中学校の大会で良い成績を収めたから、甲子園で活躍したから、という理由で、一部の選手にだけ、特別にお金を渡せと言うのです。 お金をもらった選手は、特別な筋力トレーニング機械を買うかも知れないし、自分専用の酸素吸入の疲労回復器を買うかも知れません。 勉学を続けるために、アルバイトをする必要もありません。 こうした経済的不安のない選手と、お金をもらうこともなくアルバイトをしながら勉強と野球を続けている選手とが、不公平な状態で試合をするのが、日本人には楽しいのだそうです。 私には、経済的不安のない選手が、アルバイトをしながら野球を続ける選手をいたぶる姿を見て喜ぶような趣味はないので、特待生が認められれば、高校野球や大学野球には興味をなくしますね。 金の亡者となった高校生が野球をする光景を見て楽しいんでしょうかね? 全国学力テストに激しく反対する方々が、大学で教育学を聴講した著名な先生も含め、私の周囲にも多数いて悩んでしまいます。 民主党も、全国学力テストを実施しなかった自治体の首長を知事選に担ぎ出したりしたので、私とは考え方が違うのかも知れません。 学力テストに反対する方々は、テストがいやだと言って子どもたちが泣いている、順番をつけられて可哀想だ、と、言います。 ですが、実際に子どもたちに聞いてみると、そういう声はほとんど聞こえてきません。 テストに反対する大人たちがいると言うと、目を丸くします、だって、テストがなければ勉強なんてしなくなっちゃうよ、という返事が返ってきます。 小学校にボランティアに行って授業を見ていればわかりますが、ほとんどの小学生は、向学心・好奇心に燃えていて、自発的に漢字や計算の仕方を必至に身につけようとします。 意欲のなさそうに見える子どもでも、やり方がわからなくてつまらない、ということを言うので、ていねいに計算の仕方を教えると、目を輝かせて計算ドリルに取りくみ出すのです。 そうした子どもたちにとって、学力テストは晴れの発表の場です。 今まで、計算ドリルや漢字ドリルで練習してきた成果を試してみようとするのです。 自分は、日本全体の中で、どの辺にいるのだろうか、ということに興味津々です。 この、練習の成果を発表する機会を、奪ってしまうというのでしょうか? 甲子園の大会を中止すると言われたら、全国の高校球児たちは練習を続ける意欲を持てるでしょうか? そして、全国学力テストを実施する意味は、計算力や読解力などの学力の状況を調べて、劣位にある学校に注力し全国の学力レベルを平均化すること、つまり、不公平を是正することにあります。 そのために、結果によって、教員の待遇にメリハリをつける、優秀な教員は劣位な学校に回ってもらう、などの措置が取られると思いますが、それは、国民の教育レベルの底上げをすることが目的です。 これを否定すれば、日本国内での学力格差を是正する機会が失われてしまいます。 学力向上に熱意のある自治体の子どもたちは学力を伸ばすことができるけれども、熱意のない自治体の子どもは放っておかれることになります。 全国学力テストに反対する方々は、こうした不公平をそのままにしておけ、と言うのでしょうか? そして、最近、「不公平」ということで問題になってきたのが、「株主間の不公平」を認めるか、ということです。 ブルドックソースという会社が、米国のスティール・パートナーズという投資ファンドにTOBをかけられ、企業が既存株主に新株予約権を発行し、買収者の保有比率を引き下げる買収防衛策を打ち出しています。 これについて、スティール・パートナーズの代表が、「株主を差別し、株主の権利を奪うもの。すべての株主の権利は平等に守られねばならない」と言っているそうです。 ブルドックソースが株主総会で、3分の2以上の賛成をもって買収防衛策を可決した場合、大損害をこうむったスティール・パートナーズが訴訟を提起しても勝てないだろうという予測が出ています。 私は、10%程度の株を握っただけでTOBに出てくるのは、作戦として失敗(TOBするのなら3分の1以上の株を握って、買収防衛策が可決されないようにしてから)だと思いますが、多分、後ろにもっと巨大な投資ファンドが控えていて、日本企業がグローバリズムに対してどういう対応に出てくるのかを見極めているように感じます。 日本で、9割の株主が、1割の株主が大損害を被る「不公平」を見て小躍りするのなら、日本は投資対象にはならない、中国やインドに投資する方がマシだ、と、米国の巨大投資ファンドは見なすようになるでしょうね。 そして、日本は太平洋に飲み込まれるまで地盤沈下していくのです。 あるいは、グローバリズムがもっと恐ろしい日本支配の手段を講じてくるかも知れません。 スティール・パートナーズは、企業のオーナーにはなるが、経営権は委譲して良い成績を出せば報酬を出す、経営陣を助けたいのだ、というように言っていますが、恐らく、うしろには、米国の牛肉産業などがついていて、ブルドックソースに何か事業を企画させて日本で米国産(BSEかも知れない)牛肉を売りつける算段をしているのではないか、というように思います。 日本としては、スティール・パートナーズの言いなりにはならずに、日本株を買って頂き、企業経営には口を出させない、口を出すのなら、日本製品を世界に売りまくる世界戦略に口を出してもらう、これにはどうしたら良いか、ということを考えるべきでしょう。 これも、スティール・パートナーズの代表自ら、「買収防衛をやりたいなら株価を上げることだ。日本の事前警告型の買収防衛策は世界の中で最悪。他の国なら違法行為にあたる」と言っていますが、日本はまず、日本人投資家が既にバブル状態にある中国株を買わずに、愛国心を持って、日本企業に投資させることを考えるべきです。 過熱している中国市場に投資しても、投資したお金は中国人に巻き上げられるだけ、中国の産業が伸びて、日本のIT産業などの成長を邪魔するようになっても良いのか、ということを日本人投資家に訴えて、日本株を買ってもらうことです。 上海総合指数が高騰しているのは、6月4日の日記に書いたとおり、日本人投資家が中国株を買うからです。 日本人投資家が中国株を買うのをやめてしまえば、中国への資金流入期待が薄らぎ、右上がりだった株価グラフは大きく屈曲して、横ばいか下降ムードになるでしょうね。 日本がバブル時にやった失敗、円高に任せて米国の不動産を買いまくる、というような失敗を、中国は教訓とするでしょうから、中国政府は、恐らく、元高になる部分で国内消費を活性化させることを考え、株価グラフが大きく下降してしまうようなことはないと私は思いますが、日本人に貢いでもらった中国人投資家がどういう動きに出るかは予想できません。 日本人は、日本人同士の不公平を悦に入るのではなく、日本人同志で相互に助け合い励まし合うべきです。 高校球児が公平なルールに従って甲子園を目指すようにしてあげるべきであり、学力の高い自治体の教員が学力の低い自治体に回って、子どもたちが不公平をこうむらないにように考えるべきです。 フランスでは、ニコラ・サルコジが、「経済活性化のために、公平な社会を作るべきだ」と主張して、選挙戦を勝利しました。 これが、外国勢投資ファンドに日本企業が対抗する唯一の方法です。 ---------------- 理工系受験生向け大学入試問題研究サイトはこちら 大学入試問題検討ブログはこちら ---------------- コメント、トラック・バックはこちらへお願いします。

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