架空世界の放浪者ランドの「冒険日記」

「挑戦のぷう」  ぷう著

ヘルマーシュ戦記外伝 「挑戦のぷう」  ぷう著


今日はついてる~♪
思いもかけず、朝からランドさんに声かけてもらったし~。

よぅし、ぐぁんばるずぉ!
と、張り切ってランデル4階へ。

出たすぐ横では、電撃の嵐。

「え、何?」

急いで離れる。
どうやらボス狩りの真っ最中にでちゃったみたい。

ディパメノー。
ボスクラスでは一番弱いという魔物だけど、本物は初めて見た。
騎士団所属の皆さん3人で狩っている。

「へぇー、ボスってフィールドの出入口にも出るんだ」

しばらく近くで見学。
おお!!揺れる揺れる。
すごいすごい、これは初めての経験だ。

こりゃ、あたしにゃお相手は到底無理だわ。
でも、ディパメノーはそんなに出るわけもなし。
当面あたしには関係ない世界よね。
ということで、相応の狩場に落ち着いて、しばらく狩る。

ここはイスヤゴンのクリティカルさえ気を付ければ、あとは安全。
イウィラがちょっとうるさいだけ。
と・・右斜め後ろから見慣れない魔物の黒っぽい頭部がニュッと頭上へ。

「へっ?」

ディパメノー!!
すぐ後ろにいらしたのね。

「ひえぇ」

まさかという思いと、側にいたら即死する?という思い込みもあって、それこそピュンと逃げる。
逃げたはいいけど気になるので、すぐ戻ってみた。
見ると二名?の方が狩っている。
二人はディパさんの向こう側にいるようだ。
遠目だし、ザコがディパさんの足元にウジャウジャ群がってるので二人は陰に隠れて良く見えない。

さっきまであんなにザコいなかったはずだけど、どうしたんだろ?
ザコ、うるさそうだな~、こっち側のをチョット引っぺがして、お手伝いできないかな?
などと、おせっかいな事を考えたのが大間違い。

ちょい近づいて、こっち側ザコの手前に遠距離範囲を打ってみた・・・つもりだったが。
あれ?ディパさんこっち向いてくる。
誤爆した?
これってヤバイんでは・・・

「なにしやがる!」

うぁ、やっぱり怒られた。
なんにも言えずに、ただただ退散。
どうやらテモズの某騎士団の団長さんだったようです。
ひーん、ごめんなさいでした。

あーあ・・・ショック。
ちょっと落ち込み。
ディパさんからも一発喰らったし、でも即死しなかったぞ。
この点は収穫。

そのあと、またディパメノー狩りを目撃。
この時は邪魔にならないよう、適度に離れて自分の狩りを続行。
よしよし、だいぶ学んだもんだ。
と、自分をなぐさめる。

その後もガドルからの依頼で、何度かランデル4階に通う。
するとなんと、また出ました!
例によって後ろからディパさんです。
女の子を後ろから狙うのが専門か、あんたは。

今回は挑戦だ!!・・・無理とは思うけど。

ディパさん自体の移動と攻撃間隔はゆっくり。
揺れるし、花火みたいの撃って来るけど、クリティカル以外は即死しないみたい。
だから心配していたポーションガブ飲み状態はない。

こっちは周りに群がるザコもいるので、出来るだけ離れて遠距離範囲を打ちまくり。
ザコとはいえ、今のあたしではイスヤゴンのクリティカルは要注意。
あっちにこっちにと移動しなくてはならず、忙しい忙しい。

えぇー?なんでぇ?、ザコが群がってくる。
増える増える。
どこから寄ってきたか、ディパメノーの周囲はヤゴン、イスヤゴン、ハーツでギュウギュウの朝ラッシュ。
こっちは移動したくても、時々詰まって動けない。

「えーい、じゃま!」

杖でゴンゴンたたくという無駄なアクション。
おまけに洞窟の構造物が視界を妨げ、やはり移動の邪魔になる。

どうすりゃええの?

この時ほど「PT組んでれば・・・」と切実に思ったことはない。
魔物は増えるのに、あたしの火力じゃ全然間に合わない。
ほんと、一人じゃどうしようもない。

近くに高次魔法師さんがいる。
「タスケテー」と言いたいが、言ってれば移動と攻撃の手がおろそかになるし・・・
そんな余裕は・・・などと考えている間もなくチーン。
ザコにやられたか、本命にやられたかもわからない状態。

おまけにディパさんには踏んづけられるし。
グヤジー!!

その日の夜に、もう一度ディパさんとのデートチャンスがあった。
今回は前ほどのザコはいなかったけど、ディパ花火のクリティカル喰って、早々に「はい、さようなら」。
この時は踏まれなかった。

あとは、やはり近くにいた高次魔法師さんが引き継ぎ。
あたしは「あとはたのんだ」と負け惜しみ?を残して帰還。

ボスクラスの魔物って、日に何度もお目にかかれるものじゃないはずだよね~。
それも、あたしのすぐそばに日に3回も出現。(目撃も入れると5回)
創造主に税金払ってるので、ボス、出やすくなっているのかな?

いや、やっぱりついてたんだ。
だって、デスドロップなかったし。
新しい経験もできたし。
そうだ、今日は大当たりだ。

ディパメノー、まってろよ~。
もう少し強くなったら、あたしが踏み踏みしてやる~。



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