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「あなたが生きるために三度々々ゴハンを食べるように、作物も生きるために肥料が要ります」と、言われれば、つい「そうですね」となり、「NPKが主食でカリ=根肥、チッソ=葉肥、リン=花肥、実肥」と続けられると「なるほど」と頷くことは仕方ないことのようです。 戦後、食糧難の解消に密植、多肥で増産に走ったことは正しい政策と言えますが、金肥、堆厩肥、ボカシなどの手とヒマのかかる肥料から、少量で効果が高く臭わない化学肥料を多用し始めた頃から農業は道を外れて来たのかも知れません。今、各地の農業試験場では肥料の入れすぎと有機物不足による地力の低下に注意を喚起していますが、声がちいさいのか生産者さんに届いているようには思えません。農家さんも大半は量=収入ですから肥料減=収入減と捉えて減肥キャンペーンに賛同する方は限られているようで、入れ過ぎた肥料は作物が自分で生きていく力を弱らせるので、農地の劣化が心配されます。私達もお腹いっぱい食べるよりも、腹七分八分のほうが消化にも健康にも良いのと同じです。 空気は酸素というイメージがありますが、酸素の4倍近くはチッソです。そのチッソを植物の根が吸える形に変えてくれるのが窒素固定菌、土中にチッソが増えすぎると土の健康が損なわれるので、空気中に戻す役割が脱窒菌。自然は両者がちょうど良いバランスを保っていますが、圃場などで投与チッソが多過ぎると彼らはミミズと一緒に数を減らし、代わりにチッソ大好きな病害虫が増えてきます。チッソはタンパク質やDNAの生成に不可欠な元素ですが、多過ぎたときの弊害(地力の喪失、菌叢の崩れ、病害虫の繁殖等々)は簡単に解決できるものではありません。一世代だけの農業ならいざ知らず、何代も後継者がつながる農業は「ちょうど良い」をあまり超えないほうがコツなのかも知れません。 2月19日のブログに報告した岐阜のS.Tさんの「美濃娘」イチゴの今作は、反収で5トン後半と報告がありました。ここ数年品質には高い評価を得ておられるとのことでしたが、確かめてみたいと四日市公設市場と大手流通の方々が訪問し、なりようとともに収穫1週後の品質にも驚かれたと連絡がありました。ご夫婦お二人の生産にはちょうど良い収益のお仕事と感じますが、品質が売値に反映される売り方も今後ご提案できればと思っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.06.19 15:50:10
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