810660 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

田畑見聞記

PR

Calendar

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile


パルアップ

Favorite Blog

まだ登録されていません

Comments

コメントに書き込みはありません。
2021.05.12
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類

​ 連休前のテレビのドキュメント番組で、アメリカのセンタービボット農業の先行きが報じられていました。同国の主力穀倉地帯での主役たるセンタービボット農業は、ロッキー山脈の雪解け水が地下水となったものをポンプアップして、長さ400m以上の灌水スプリンクラーで円形に給水する装置で、74年の歴史があります。2000年に私が「Si22」と出会い、農業への参入を検討した折、センタービボットの水があと50年ほどで底をつくという情報を耳にしたことを思い出しました。

 インタビューに出ていた年収何憶も稼ぐセンタービボット農業者の一人は、「数ある農園のうち早いものはあと10年もしないうちに水が出なくなる」と不安を語っていました。ロッキー山脈の東、テキサス、カンザス、ネブラスカ州は降水量が少なく、長い年月をかけて貯まった地下水を、貯まるスピードの何倍もの量を使えばいずれ無くなるのは自明の理ですが、生産性第一の思想のもとペースダウンは顧みられなかった模様です。この農業を手本としたサウジアラビアではスプリンクラー方式から点滴方式に切り替え始めているそうですが、今一つの問題は量を追うことで使用した肥料と農薬の蓄積が塩害、土壌地力の衰退、地下水汚染を引き起こして、改善の目鼻も立たず離農、廃業への道を歩まざるを得ない農業者が増えているそうです。

 このことはアメリカの話に留まらず、産業革命以降石油石炭の利用で馬牛の有機パワーから内燃機関の無機パワーが登場した近世の世界にも通じるものがあります。はるか昔に地中に埋もれた植物や動物が石油石炭に変わり、そのエネルギーを取り出すことで馬牛の何十倍のエネルギーを利用することで人類はこの3世紀弱で信じられない進化を遂げましたが、人類が謳歌を繰り返した21世紀の今、CO2の増加、異常気象やオゾンホール、プラスチック問題など地球が病み始めていることが少なくない人たちに認識されてSDGsという合言葉の下に、過ぎることは良くないと認識され始め、先進国を中心に国レベルでも避けて通れない課題となりました。勿論石油石炭も地下水同様使えば無くなることは間違いありません。

 人間が他の動物と異なるところは知恵が働くことと欲があることで両者は反応し合っていますが、欲が前に出過ぎると、遅かれ早かれ問題が生じますが、それを改善しようと知恵の出番が回ってきます。農業に関しては世界人口が増えるのに反して農地はむしろ減っている。だから面積当たりの増収が必要とばかりに多肥が推奨されたのがこれまでで、センタービボット農業はそのモデルと言って差し支えありませんが、崖っぷちが迫っていることを報告したテレビ番組だったと思われます。

 そのアメリカでの知恵のひとつと言えそうなのが「Silicon in Agriculture」(農業におけるケイ素 )という国際会議を日本やカナダなどとともに立ち上げて、生産性第一から環境保全型農業へケイ酸の有効性を探求し始めたことです。瑞穂の国たるわが国は世界で唯一ケイ酸を肥料と認めるところですが、チッソリン酸カリの研究と比べるとケイ酸研究はマイナーとされている我が国のケツを叩く勢いで研究を進めています。ITのシリコンバレーなど時代の流れの中で、機を見て集中するところはアメリカ的だなと感心するばかりです。

 あと一つ、センタービボット農業が行き詰まると小麦、トウモロコシ、ジャガイモと食料の不足が現実になり、持てる者とそうでない者との間に諍いが起こり、社会情勢が不安になることです。第二次世界大戦の後、アメリカは「緑の革命」と称して食料を行きわたらせることで自由主義の仲間を募ってきましたが、食料の援助が困難になることを見据えて循環型の農業への転換のリーダーシップを意図しているように見えます。

 農作物1gを作るのに600gの水が要るとされますが、近年の異常気象のもとアメリカ、オーストラリア、中国などいずれの農業大国も水不足に直面し、食料不足は確実な近未来となりそうです。そのぶん農業の重要性は高まり、農産物の価格も上昇が見込まれますが、世界平均の約2倍の降水量がある我が国は水の心配は無さそうですが、問題は人です。

 あと10年先の日本の農業人口はどうなっているでしょうか。                                                                       
                        
​ ぽっ







Last updated  2021.05.12 19:18:11



© Rakuten Group, Inc.