部長のブログ

2006/11/03(金)08:13

大宰相を読んで

読書(25)

 先日、ずっと読もうと思っていた、さいとうたかをの劇画『大宰相』を思い切って購入。(1冊1000円もするのでなかなか手が出なかったのです)  期待に違わぬ好作品で、あっという間に10巻すべて読み終えました。  特に第1巻、第2巻における鳩山一郎の参謀、三木武吉の活躍が印象に残りました。1955年の保守合同・自民党の誕生に関わったということで名前は知っていたけれど、不勉強で三木武夫の親戚かなんかだとずっと勘違いしていました。(実際は血縁関係など一切なし) 三木は目的のためにはどんな手段も厭わず権謀術数を駆使する、典型的な調整型の政治家です。しかし、吉田内閣打倒・鳩山内閣誕生、そして保守合同という目的のため、自らの野心を捨てて邁進する姿(実際有力政治家にもかかわらず大臣を一度も務めていない)には、一人の人間の生き様として共感するところがありました。  この作品は劇画という表現の利点を活かし、政界ドラマを通して、人間の弱さ、醜さなどをたくみに描いておりおすすめです。 三木武吉について詳しい本はこちら  こういう政治ものの劇画で秀作といえば水木しげるの『劇画ヒットラー』ですね。ともすれば一方的な表現に偏りがちな題材ですが、鬼才水木しげるは徹頭徹尾、中立的な視点を貫き人間ヒットラーの栄光と挫折をたくみに描いています。

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