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南の島物語

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2014.11.13
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カテゴリ:釣りのエッセイ
デジャブー

何しろ忘れっぽい私である。それは子供の頃からで、
学校帰りに夢中になって遊び呆けると、必ずカバンや運動靴や上着など、
何か忘れて来たことに後で気がつく。

それが常であった。

あれは小学3年生頃だと思う。

中学生の兄と近所の子供達数人で近くの川に潜り、
魚を捕っていた(小さい手作り銛で小魚を突いていたと思う)。

その中で一番小さかった私は、
みんなの衣類を預かり、番をするのが役目である。

しかし、自分でも遊びたかったからであろうか、
いつか他の小学生と泳ぎに夢中なってしまい、
預けられた洋服や靴を何処に置いたか判らなくなってしまう。

川に流されてしまったのだろうか?皆で探したのだが、
どこを探しても見つけることが出来なかった。

何しろ戦後まもなくの貧乏な時代である。

母がなけなしの金をはたいて洋服生地を買い、
数人の子供達の洋服を縫って弁償した。

それは、子供ながらに心が痛んだものである。


それから大人になっても、この忘れっぽい性格は消えない。

ジャズの演奏家だった頃の話だが、地方公演の際に肝心の楽器を忘れてしまった。

そこで、そこの高校にある吹奏学部に頼み込んで、
なんとか楽器を貸し出してもらい事なきを得た。

しかし今度は、その楽器を返えすのを忘れしまい、
東京に持ち帰ってしまった。

我が家に帰ってからその事に気がつき、ただひたすら謝って
礼状と、お礼の手に入り難い輸入物の楽譜を数冊添え、送り返した記憶がある。


それが、更に数十年も経って見た目もジジイになる。

気を使わない島暮らしではあるから、
とうぜん脳神経全体も老化の一途である。

ちょっと出掛ける際にも女房殿に
「ウォーイ、眼鏡はどこだ~、カメラは~、フィルムは~、車のキーは~」
その度に手を煩わす。

「なんで、そんなに忘れっぽいのよ~、そのうち私まで忘れるんじゃないの~、
アルツハイマーパパと呼んでやる~」

嫌味まで言われる始末だ。

先日だが、島の東側、神湊港の近くにある垂戸海岸に友人と遊びに行った。

ここは岩場ではあるが潮通しが良く、
島の素潜り漁師達がトコブシやテングサ漁をする場所である。


暑い日差しの中、友人と私は、其処で泳ぐことにする。

ところが、足元のゴツゴツした岩穴に「アナマモリ(アワビの一種)」が幾つも見え、
これはチョイとした酒の肴に最高だ。


そこで、私は洋服を脱ぎ捨て、この「アナマモリ」獲りに夢中になってしまったのである。

気がつくと何時か潮は満ちてしまい、私達の洋服は波に浚われ潮目を漂っている。

これには慌てた。

洋服はなんとか取り返したが、それは一歩誤るとパンツ一丁で帰るハメになっていた。

これでは、子供の頃と同じではないか。

それは、遠い昔の淡い思い出だが、今の私には、セピア色にリピートし脳裏を翳める。

そして、それは、まるでデジャブーのように蘇ってきた。

(昔のコラムの焼き直しです)





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最終更新日  2014.11.13 15:08:50
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