パパのショートエッセイ「大言壮魚」
島の花と暮らし4、ハイビスカスハイビスカスは夏の花である。それは、我家では6月頃から,濃い緑の葉とは対照的に真っ赤な花を咲かす(ピンクや白など様々な種類はあるが)。しかし、この力強い葉は、1月の声を聞くと一斉に枯れ始め、2月には一斉に葉を落としてしまう。それは、老醜を曝す姿にも見えなくはないので、我家ではその前に枝を選定し、葉を切り落としてしまう。しかし3月になると、その丸坊主になった幹の間から、少しずつ若草色の新芽が吹き出してくる。これは春を感じる瞬間だろうか?。その頃の島はカツオ漁の盛期であり、陽の昇る時間は、まだ遅いが、港は暗いうちから喧騒になる。何しろ、八丈島のカツオは市場ではブランドで高値が付く。この2ヶ月のカツオ漁で半年分以上の収入を得るのであるから、それは殺気立つほどに慌しく、早朝から船を出すのだ。そんな時期だから、ベイトが活性し、島の南側にある小岩戸の浅瀬には、大型のヒラマサやハガツオが群れるのだが、「ジギングに行こう!」なんて誘っても、忙しい漁師達の中々遊んでくれない。仕方がないので、この時期は防波堤でお茶を濁すのだが、それでも大型のアオリイカや小型のカンパチと遊べるので楽しい時期だ。4月の後半になって、ハイビスカスが葉を広げる頃は、カツオ漁も終盤になる。そして、いよいよジギングの季節だ。5、デイゴの木春から夏に変わる梅雨前の八丈島は、淡い緑と深緑が混在し、それに山桜の淡いピンクが織り成す。北西には八丈富士、南東には三原山があって、それぞれに独特の色合いを表すが、八丈富士の方が冬季には,冷たい乾いた風が当たることもあって乾いた感じがする。中腹には牛の放牧場あって木々の背も低く、どちらかと言うと南国の風情ではない。それに比べ三原山の方は、湿気が多くヘゴ羊歯などの熱帯系の樹木が多いので、それは鬱蒼として緑が深く、まるで熱帯雨林のようだ。同じ島でも、これだけの対比を見せるのだから、島はそれぞれに育つ固有の植物から動物まで、その多様な自然を見せてくれる。我家のエントランスにあるデイゴの木は勢い良く緑の葉を伸ばし、やがて花を付ける頃は梅雨になるが、花は梅雨が明けても咲き続ける。真っ赤で嘴のような花だが、チョット風が吹くとその花を落とすので、それは満開になると掃除が大変になる。「パパ~、もう花が落ちそうだから切ってよ~、掃除が大変だから~」と愚痴をこぼすが、そんな言葉が出る頃からカンパチが深場で活性し、パヤオには大型のキハダマグロが群れる。花で季節を感じるのか、女房殿の愚痴で季節を感じるのか、良く判らないが(笑)、そんな島の日常から魚の釣れぐあいを想い描くのだから、私には、釣りが生活の一部になっている。釣りのない人生なんて、嗚呼。パパズインの釣果情報は コチラ。