スーチー氏の賞、団体が取り消し ロヒンギャ問題などで
朝日新聞 2018年11月13日10時07分
引用元:https://www.asahi.com/articles/ASLCF2SXCLCFUHBI00Q.html
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは12日、ミャンマーのアウンサンスーチー国家顧問に授与した「良心の大使賞」を取り消すと発表した。少数派イスラム教徒ロヒンギャへの迫害や、ジャーナリストらの拘束など言論の自由の弾圧を許しているスーチー氏の「恥ずべき裏切り行為」を理由にしている。
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記事を要約すると
- ミャンマーの実質的な最高指導者アウン・サン・スー・チー氏
- 国際人権団体アムネスティは、2009年に授与した人権に関する賞を取り消した。
- ロヒンギャへの迫害などが理由で厳しく批判している。
スーチー氏の姿勢には疑問符
剥奪された人権の賞とは
アムネスティ・インターナショナルが人権擁護活動で活躍した人に与えている賞で、アムネスティとしては最高の栄誉となる「良心の大使賞」という名の賞である。
これまで、南アフリカでアパルトヘイトに対して戦ったネルソン・マンデラ氏やパキスタンでタリバンに襲われながらも通学を続け、女性の地位向上を訴え続けたマララ・ユスフザイさんなどが受賞して、非常に栄誉ある賞である。
アムネスティはスーチー氏が自宅軟禁中だった2009年に民主化運動で軍事政権と戦っていたので、良心の大賞の授与を決めて軟禁が解除された後の2012年に授与した。最高の賞をスーチー氏に送ったわけですが、今回それを剥奪ということになった。
この頃のスーチー氏への評価は世界的にも高かったわけだが、その後、権力者になってからの動きに疑問符が付きまくった。
スーチー氏は外国籍の子供をもっているので憲法上大統領になれないのでどうしたかというと、国家顧問という大統領の上につく役職を自らつくってしまい、最高権力者の座についた。さらには、外相も兼務して自ら大統領より上の存在になると公言した。
これで、民主化など進めるかといったら、ここで例のロヒンギャ問題に対して基本的に目をそむけて、その影響力を軍に対してほとんど行使せず、基本的な姿勢に疑問を呈するものであった。
なぜ、何も手をうたないのか。発言をしないのか。むしろ、ロヒンギャに対しては、国際社会は大量虐殺だ、民族浄化だと言っているにもかかわらず、スーチ氏は民族浄化とは言いすぎだとむしろ軍をかばうような発言をしてきている。この姿勢には疑問符がつき、今回の剥奪も当然だろうと思われる。
アムネスティの事務総長のコメントは非常に厳しく、「あなたはもはや希望や勇気、永遠の人権擁護の象徴ではなくなったことに深く失望している」とした書簡をスーチー氏に送っている。このくらい本当に失望したんだなという気持ちが伝わってくる。
これだけにとどまらず、さまざまなところでスーチー氏への評価が変わってきている。
英オックスフォード市の「オックスフォードの自由賞」、米ホロコースト記念博物館の「エリ・ヴィーゼル賞」、カナダの「名誉市民」の称号も剥奪された。
そこでどうなるかというノーベル平和賞だが、ノルウェーのノーベル委員会は「過去の功績に対して授与したんだ」というコメントをわざわざ出している始末。しかし、当然これには疑問符がついてくるだろう。
また、欧州議会が与えた人権活動への賞「サハロフ賞」についても、剥奪するべきだという声が噴出しているということで、世界中が与えた賞が間違いだったという話になってしまっている。
それではスーチー氏としてはどうすればいいかといえば、行動で示すしかない。
関連サイト
・「ロヒンギャ迫害 目背けている」 アムネスティ、スー・チー氏の人権賞剥奪 - 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201811/CK2018111402000146.html
・アムネスティ、スーチー氏の賞を取り消し - BBCニュース
https://www.bbc.com/japanese/46190041
・国際人権団体アムネスティ、スーチー氏の人権賞をはく奪 - CNN.co.jp
https://www.cnn.co.jp/world/35128589.html
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