テーマ:最近観た映画。(38850)
カテゴリ:音楽と映画・ドラマ・TV
いやー、驚いた。やっぱりカンヌ映画祭は偉い!アカデミー賞と違い、本当に凄い事をやってくれました。なんと、今年のカンヌ映画祭のパルムドール賞に、なんとあの、マイケル・ムーア監督の「華氏911」を選びました。この映画は皆さんご存知のように、ドキュメンタリーで、ブッシュ政権への強烈な批判、9.11からイラク戦争へ向かって何が行われたのか、ブッシュ家とビン・ラディン家の関係などを描いたものです。製作のMIRAMAX社は、親会社のディズニー社から圧力がかかりアメリカでの配給が今のところ見つからない状況です。
そんな問題作を、アメリカの監督であるタランティーノを審査委員長とする審査員団がパルムドールに選んだのです。審査員団には、フランスの女優、エマヌエール・ベアールや、香港の監督のツイ・ハークも含まれています。快挙と言っていいでしょう。また、フィクションの映画ではなく、ドキュメンタリー映画がパルムドールに選ばれたというのも画期的です。 今年のカンヌ映画祭は、「戦争や真実」と「アジア勢の大活躍」が特徴でしたね。前者でいえば、カメラドール賞(監督の新人賞のようなもの)を受賞した「オール(黄金)」のイスラエルの女性監督が受賞スピーチで、「私はイスラエル人でイスラエルという国を愛していますが、どうかみなさん、パレスチナの人々を助けてください」といっていました。 一方、アジア勢の大活躍は、授賞式の発表の順番からいうと、審査員賞の「Tropical Malady」というタイの映画が選ばれたところから始まります。タイから初めて映画がノミネートされ、それがいきなり賞をとってしまうのですからたいしたものです。広告の世界では、アジアの中でもタイのクリエイティブはとても優れているというのが定評になっていますが、とうとう映画の分野にまでその力が発揮されました。 次に驚いたのは、主演男優賞に、なんと日本映画「誰も知らない」の主役、柳楽優弥くん(14歳)が選ばれたことです。彼は中学の中間試験があるので、授賞式には出られませんでしたが、今までの最年少受賞記録22歳を大幅に下回っての年齢での受賞です。将来が楽しみです。 次に、主演女優賞は、「Clean」というフランス映画ですが受賞したのは、香港出身のマギー・チャンです。彼女は今はフランスで活躍しているようですが、アジア出身の女優が受賞、というところにアジア勢の勢いを感じます。そして、グランプリを受賞したのは、日本のマンガを映画化した韓国映画「Old Boy」です。今、韓国の映画やドラマが、中国・アジア・日本で大人気、「韓流」がアジアを席巻していますが、その勢いがカンヌにまで波及してきました。 今年のカンヌ映画祭の受賞作品の特徴は「真実を追い求める」と「アジア勢の活躍」といたところでしょうか。さすが、タランティーノ監督が審査委員長だからこそ、こうした映画祭そのものがはっきりとメッセージを発信するものとなったのではないかと思います。 マイケル・ムーア監督が、自分でも予想外の「パルムドール」受賞のスピーチで言っていましたが、「僕たちに希望はある」。アメリカで配給をことわられた映画が、アメリカ以外の世界に発信されていく。やがてそれは、世界の世論としてアメリカ自身が立ちどまるきっかけになればと思います。アメリカの暴走をとめられるのは、ほかならぬアメリカ人自身の世論なのです。はやく、この映画がアメリカでも上映されるようになればいいと思います。 やったぜ、マイケル・ムーア、よくぞ選んでくれたぜタランティーノ! (カンヌ映画祭をリアルタイムで見られたのも、ケーブルTVのおかげです) P.S. ウォン・カーウェイの映画、残念でしたね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[音楽と映画・ドラマ・TV] カテゴリの最新記事
|
|