テーマ:東京湾景(109)
カテゴリ:音楽と映画・ドラマ・TV
東京湾景 最終回 輪廻
毎回楽しみにしていたドラマが終わってしまった。 最終回、どうも評価が分かれているようだが、 ぼくは、とてもよかったと思う。 良くなかった、というひとたちが忘れているのは、 「時間の経過」という軸。 美香(仲間由紀恵)の長期休暇、 美香の出版社の後輩、早瀬(佐藤隆太) 亮介の先輩、大杉(哀川翔) 真理(佐藤江梨子) たちがいっている、 「もう夏だね」って。 おそらく1年ぐらいたったということなのだと思う。 最終回は、記憶が走馬灯のように思い出されるがごとく、 回想シーンが、いっぱいで、めまぐるしい。 最終回1回が、総集編といってもいいくらい、 あのシーンもこのシーンも出てくる。 でも、ぼくは、無駄がないコンパクトな構成、 これでよかったと思っている。 ドラマでストーリーを全部、説明する必要はない。 観るものが、自分の頭の中で感じればいいものだと思う。 だから、ぼくはこの最終回に、とっても満足している。 いつものように、ぐっと心に来るシーンや言葉がいくつもあった。 出会ったときと同じく、羽田空港へ行く。 垂れ幕が2つ下がってくる。 美香の父、木本正雄(石坂浩二)の言葉、 「2つの祖国の誇りを持って生きなさい。海の架け橋となって欲しい。それが私の願いだ。経営者である前に、在日韓国人である前に、お前達の幸せを願う、どこにでもいるありふれた父親だ」 美香の父は、前にも、在日韓国人の会合か何かのスピーチで 前半の言葉と同じようなことを言っている。 後半の言葉は、美香にすべてを話し、結婚式から逃げ出すように促した言葉と共通する、父親の思いだ。 彼の言葉は、唐突に、最終回に言ったわけではない。 ドラマから、われわれへの、ひとつのメッセージだと思う。 亮介からメールが来た。 「新しいメールアドレス 一発で見つけたよ。honntounoーwatashitachi」 「本当の私をみつけて」が、 「本当の私たち」に変わっていく。 亮介は言う。 「本当の自分は一人では見つけられない。 愛する相手がいてくれて、初めて見つけられる・・・」に変わってゆく。 美香と亮介が、品川の埠頭で、出会うまでのシーン、 回想シーンを含めたシーンでは、 テーマ曲ではなく、Kang Hyun Minの「She」 が流れている。 とんとんんとんとん、というベースの音に、ボーカルがのっかっていく。 ギターの音が大きくなり、ギターのリフとベースが重なり合って、おおきな流れになっていく。 画面にぴったりがが、U2の「With or Without You」 にそっくりな曲調、構成だ。 ドラマでは、曲の最後までは流れないが、 CDでは、 「She」は、ハングルから英語の歌詞に変わり、ドラムスの音が大きくなって、最後の燃焼を始める。 She is my life She is the one She is everything (中略) She is my dream She is my soul ドラマにぴったりの歌詞だ。 つづけてU2の「With or Without You」を聴いてみる。 違和感がない。全く同じだ。 U2の方が静かに激しくなっていくが、 その抑制された激しさが、優しさとなって胸をうつが、 同じだ。「She」の優しさと同じだ。 U2のアルバムの中でもぼくが1~2番に好きな「The Joshua Tree」 の1曲。 ヨシュア・トゥリー U2のCDだ。機会があったら聴いてみて欲しい。 いつか、U2については、日記を書こう。 話をドラマに戻そう。 埠頭のフォークリフトのところにいる美香を 後ろからやってきて、亮介が言う。 「見つけた」 曲は、ここからテーマ曲の「君さえいれば」 に変わる。 やっぱり、この曲はいい。 そして、亮介と美香のキス・シーン ハッピー・エンドでよかった。 神谷文(仲村トオル)の小説を、みんなが、それぞれに読んでいる。そして、ドラマの登場人物だけではなく、 いろんなカップルが読んでいる。 すべての愛し合うひとたちのための、 最後の一行。 「運命の力に勝てるのは、愛の力だけである」 ドラマからわれわれへの、本当のメッセージだ。 完璧だ。脚本家はドラマのなんたるかを、知っていると思う。 ぼくは、原作ではなく、ドラマのノベライズでもなく、 神谷文という作家が書いた 「Destiny of Love」 という小説を、ぜひ読んでみたいと思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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