ラスタ・パスタのレレ日記

（その１から続く）

実は、終盤にきてぼくは、今まで、歌詞をちゃんと聴いてこなかったなあ、と思いました。


IN BETWEEN DREAMSby JACK JOHNSON(DVD付き)


今日のライブでは、

例えば、

♪　Slow Down, everybody, you moving too fast♪

などの歌詞を歌っています。

G. Loveとのセッション風に盛上がって、ステージを下りた後のアンコールでは、

ひとりアコギをもって、

「on and on」のアルバムから、「Times Like These」を歌い、

その後、ちょっと曲名が分かりませんが、歌詞の内容が、

♪Conversation（会話）が、家のだんらんからなくなり、

Too much informationがテレビからもたらされ、悲しいニュースがいっぱいで、

それを、そうやって受け止めていいかわからず、

だんだん無感動になっていく♪

というような、かなしげな歌をひとりで歌った後、

また出てきた、G. Loveと一緒に、

♪We woke up this morning♪　と、なにやら再生をテーマにしたような曲を歌い、

最後に、最新作「In Between Dream」から、「Better Together」を歌いました。

♪It’s always better when we’re together♪　

一緒にいる時は、いつもいい。

一見（一聴）、ラブソングに聞こえるこの歌、実はかなりの社会的メッセージがさりげなく入っているんだなぁ、と思いました。

アメリカ人である彼が、２００１年の9.11と無縁であったとは思えず、その後のアフガン、イラク戦争に突入していった時代に、彼は、

自然と調和した、謙虚で感謝の気持ちを失わない、ハワイ流の生き方、いわば「アロハ」な生き方を発信してきたのではないかと思います。

あくまで、さりげなく、押し付けがましくなく、メッセージを伝えてくれる。
２１世紀の詩人は、ボブ・ディランやポール・サイモンのようにＮＹから発信するのではなく。オアフ島のノースショアから発信する。

一時、カリフォルニアに移り住んでいた彼は、ふたたびオアフ島のノースショアに戻りました。
そして、自分が少年時代をそこですごしたのと、同じように、自分の子供にノースショアの環境で成長して欲しいと思っているそうです。

ジャック・ジョンソンは、ノースショアの自然環境を守る活動、
「Surfrider Foundation」に参加しているようです。

プロのサーファーの道は、大怪我によってたたれてしまいましたが、今でもサーフィンをやっており、サーフィンを出来なくなり、家族の絆がなくなってしまうのであれば、ぼくは、すぐにギターを捨てられる。

そう言っています。

そんな彼の創りだす音楽は、どこまでも心地よく、ビーチにいながら、ずーっと波と風の音（といっても、ノースショアの波と風の音は相当でかいですが）を、まったり聴いているような、リラックス感と安心感、どこか子供の頃のような気持ちにさせてくれるものがあります。

ノースショアの海で培われた音楽、ジャック･ジョンソンは、今のハワイの音楽シーンを素通りして飛び越えて、アメリカ本土やオーストラリアなどのアーティストたちと、共振し、

ＮＹの「サタデイナイト・ライブ」に出演するまでになるほど、全米で知れ渡り、

７０年代のセシリオ＆カポーノ以来、きわめてひいさしく、ハワイから世界へ発信する音楽を創り続けています。

そんなことを考えながら、ただひたすら彼の音楽に身をまかせて、ゆらゆらと踊っていました。

本当のスロー・ライフがここにあるのかもしれません。