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ラスタ・パスタのレレ日記

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2006年11月04日
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テーマ:Jazz(1961)
カテゴリ:音楽:ライブ
16歳でデビューした早熟の女性サックスプレイヤー矢野沙織のライブに行って来た。
ぼくが はじめて彼女のことを知った時、
キャンディ・ダルファーという女性サックスプレイヤーを真似した、
ビジュアル優先のミーハーな新人、くらいにしか思っていなかった。

p_saori

しかし、ぼくは大きな間違いをしていたことにその後気が付く。
矢野沙織は、1986年10月末生まれ、ついこないだ20歳になったばかり。

しかしすでに5枚のCDを出している。


矢野沙織CD小
〔送料無料キャンペーン中〕矢野沙織 Groovin' High-CD-
Groovin’ High
矢野沙織/Groovin’High
矢野沙織/Groovin’High
矢野沙織/Groovin’High
しかも、発売されたばかりの最新作は、
故ディジー・ガレスビー・オールスターズのベテラン・メンバーの
ジェイムス・ムーディー(ts)ジミー・ヒース(ts)、スライド・ハンプトン(トロンボーン&アレンジ)といった大ベテラン、
および日本でも大人気のランディ・ブレッカー(tp)といったひとたちとNYで録音した

「Groovin’ High」

で、ベテランたちにごして、しっかりとスイング感あふれるアルト・サックスをブローしているのである。

このCDに一発でノックアウトされたぼくは、この目で、この耳で彼女のプレイを確かめようと、都内ライブハウスに行ってきた。

彼女は「矢野沙織 with ディジー・ガレスビー・オールスターズ Groovin’ High」というツアーの真っ最中で日本全国をまわっているが、東京の浜離宮朝日ホールの公演はすでにソールドアウト。

これは困ったなァ、と思っていたら、ディジー・ガレスビー・オールスターズの大ベテラン勢は出演しないけれども、ランディ・ブレッカーと一緒にやるライブハウスにはまだ空きがあると知って即予約し、出かけてきたのだ。

モータウンの何十周年記念ライブの模様をスクリーンで映し出しているライブハウスで、ダークビアを飲みながら彼女の登場を待っていたら、

出てきました。レインボーカラーっよ子のストライプの入った短いワンピース、スカートの裾の部分と襟元がグリーン、胸元がピンクの衣装を着た彼女がランディ・ブレッカーの後ろからステージに登場。

171cmの長身にヒールをはいている彼女、足も細くモデル体型の彼女は、
昔に比べてかなり太ったランディ・ブレッカーのおおきな身体に存在感で負けていない。

1曲目の最初から、ランディ・ブレッカーのばりばりとしたアドリブ・ソロが聴ける。

ランディ・ブレッカー

ランディの演奏中、矢野沙織は、マイクの高さを下げたり、譜面台の高さを調整したりと、ちょっとナーバスになっているようにもみられたが、
自分のソロになると見違えたように、堂々とあるとサックスをブローする。

女の子だから華奢な音だとか、CDでは録音でなんとか音量を上げて、他のベテラン勢とのバランスをとっているかもしれない、などということは微塵もなく、本当に堂々とした吹きっぷり。

これは、CDそのままの存在感だ。

1曲目は、最新CDから「Speak Low」ではないかと思う。

2曲目でいきなり、矢野沙織が「スペシャル・ゲストです」といって登場したのが、今日のライブハウス公演には来ないと思っていた大ベテランの

ジェームス・ムーディ(Ts、フルート)とスライド・ハンプトン(トロンボーン)が登場。なんという幸運。彼らの演奏まで聴けるとは思っていなかったので。


矢野沙織出演者

というのも、彼らは、故チャーリー・パーカーとの共演歴もある、本当にジャズのビバップの時代を知っている生きた証人たちだからだ。
チャーリー・パーカーというのは、ジャズ・ファンなら誰でも知っていると思うが、ジャズの歴史のなかの最重要人物のひとりである。

そして、矢野沙織自身がめざすのは、チャーリー・パーカーそのひとなのである。生半可なことでは、チャーリー・パーカーをめざすとは言えない。それだけ彼女が本気であるといいこと、そしてこうした 大ベテラン勢から可愛がられるというのも、彼女のなかにその片鱗を見ているからだと思う。

2曲目は、ディジー・ガレスビーの「Manteca」という曲。
トランペット、テナーサックス、アルトサックス、トロンボーンの4管になったフロントは、分厚くそれでいて優しいハーモニーを聴かせてくれる。

ランディ・ブレッカーが途中で、フリューゲル・ホルンに持ち替えた。
ジェームス・ムーディがフルートに持ち替える。多彩な色彩感と、やっぱり心地よいアンサンブル。

そこで、矢野沙織はきちんとアドリブ・ソロを吹く。実に堂々としたものだ。
とても20歳の女性とは思えない。スタイルがよくて細身の彼女、いくら長身とはいえ外見からは、今どきの若いオシャレな女の子にしか見えない。そんな彼女が、チャーリー・パーカーやディジー・ガレスビーの時代を生き抜いた大ベテラン、それから70年代後半から80年代以降、ジャズ・フュージョンの道を切りひらいたランディ・ブレッカーと互角に吹いているのである。

MCをしゃべっている矢野沙織が、右手の薬指と左手の人差し指にリングをはめ、赤いマニキュアをしているのが見える。
いい音楽を演奏するのに精一杯かと思えば、ちゃんとオシャレもしている。

3曲目は、矢野沙織のアルトとスライド・ハンプトンのユニゾンから始まり、
矢野沙織の実にスウィング感あふれるソロ。

ディジー・ガレスビーの「Groovin’ High」だ。

この彼女のスウング感がNYで認められて、昨年、NYでの単独ライブ、そしてライブの演奏を録音したアルバム「Perker’s Mood --- Live in NY」の発売、そして今回、もっとがっぷりとNYのミュージシャンと組んでの最新アルバム「Groovin’ High」の発売と日本全国ツアーへとつながっているのだと思う。

ちなみに、今回の「Groovin’ Highは、アメリカでも発売されるそうで、アメリカでどういう評価をされるかがとても楽しみだ。

ドラム・ソロのみせばもあった。

4曲目は、ピアノのソロからはじまり、ベース、ドラムスと日本人プレイヤーの
今泉正明(p)、上村信(b)、小松伸之(ds)とそれぞれが見せ場を作り、最後はランディ・ブレッカーと矢野沙織がトランペットとアルト・サックスの掛け合いがあり、最後にユニゾンになっていく。

ちなみに、最新アルバムは、NYのベテラン勢が大勢参加した録音だが、唯一、矢野沙織と一緒に日本から録音に行ったのはピアノの今泉正明
日本人プレイヤーの見せ場も作っているところがなかなかにくい心配りだ。

ここまでくれば矢野沙織もだいぶ落ち着いているかと思うのだが、プレイは堂々としているが、他の人がソロをとっているとき、さかんにPAのスタッフにむかって、自分の返しのモニターの音を上げてくれと指で合図している。

やっぱり彼女自身、かなりの緊張感なのだと思う。

この曲は、多分、彼女のオリジナル「Greensim」だと思う。

さて、アドリブ・パートが多いので、あっという間に最後の曲になってしまった。最後の曲は、チャーリー・パーカーの曲。

惜しみない拍手。せまいライブレストランではスタンディング・オベーションまでおきている。みんなのアンコールの拍手にこたえて、全員がステージに戻ってきた。

ジャッキー・マクレーンの曲。

メロディも美しく、最後までスウィング感あふれるアルトを聴かせてくれる矢野沙織。

エンディングにむけて、左隣のジェームズ・ムーディーと右隣のランディ・ブレッカーになにやら指示を出している。

多分、エンディングのリズムを指示しているのだろう。彼女は大ベテランの前でお姫さま的に扱われているのではなく、あくまでも、バンド・リーダーなのだ。そこが凄いと思う。

で、エンディング。
矢野沙織は、「タンタン、タタッタン」という指示を出したのだろう。

ランディ・ブレッカーは、お安い御用だよといわんばかりに、
彼女の出したリズムに
「タララン、タララン、ツタタタタッタン」

と、3連譜や裏を入れて応えてみせた。

日本を代表する本格派アルト・サックス・プレイヤー矢野沙織が誕生した瞬間である。

今後の彼女の活躍が楽しみだ。



最新作の「Groovin’ High」は、ライブで演奏したアップテンポの曲だけではなく、

ミディアム~スロウ・テンポの曲も収録されていて、そららの曲も大変美しい。

「Over The Rainbow」は、最近、ギターやウクレレで繊細に演奏する人が多いが、もっとゆったりとたおやかにアルトを演奏しており、
ああ、こういう曲の解釈も面白いなあ、と思わせてくれる。

アントニオ・カルロス・ジョビンの「Corcovado」も、
ああ、この曲聴いたことがある、とみんなが親しみを感じるような演奏だ。

最後に、日本の曲「浜辺の歌」をホーン楽器6管の9人編成で演奏するアレンジは見事だ。

今年を代表するジャズCDの1枚になると思う。
オススメです♪





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最終更新日  2007年06月12日 17時52分33秒
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