小悪魔。彼女の印象はこの言葉がぴったりだ。シャネルのCFで、鳥かごの中に入った彼女を観たことがあるひとは、その幼いながらも妖艶な姿を覚えているのではないか。
その彼女が、トータル・アルバムとしては久しぶりに
「Divinidylle(神々しき純愛)」というCDを出した。
小悪魔的でありながら、大人の女性のあやしげな艶やかさをも垣間見せる(聴かせる)秀作である。
しかも、このCD,ちょっとしたサプライズがあって、CDジャケットのヴァネッサの肖像画は、つい最近、入籍したジョニー・デップが描いたものだそうだ。
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ヴァネッサ・パラディ/神々しき純愛
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ヴァネッサ・パラディ/神々しき純愛
【CD】ヴァネッサ・パラディ/神々しき純愛<2007/10/03>
【CD】神々しき純愛/ヴァネッサ・パラディ
神々しき純愛/ヴァネッサ・パラディ[CD]
ヴァネッサ・パラディは、もともとは歌手として1987年にデビューしている。
1972年生まれだから当時15歳の少女のデビューCDは、フランスで、一種、ロリータ・ポップ的にちょっとしたセンセイションをまきおこし、11週連続第一位を獲得したらしい。
2ndアルバムは、セルジュ・ゲンズブールがプロデュース。これも、なかなか完成度の高いアルバム。
ブリジット・バルドー、ジェーン・バーキンと、個性派女優をプロデュースしてきたセルジュ・ゲンズブールがかかわった、最後のロリータ女優となった。
順序は前後するが、ヴァネッサ・パラディの映画デビュー作は「白い婚礼」で1989年。
この映画、ぼくもビデオで観たが、まさに
TBSドラマ「高校教師」の元ネタ的映画であり、当時もそう噂されていた。
妻もいる高校教師が、学校に来たり来なかったりするヴァネッサ演じる女子高生に翻弄され、やがて、関係を持つ。二人の関係はすぐに学校で噂となり、高校教師は、クビ、妻も失い遠く田舎で教職につく。。。。
そんな映画だったと思う。このときも、まだ17歳だったヴァネッサの妖しい魅力は、小悪魔的でもあり、ロリータ的でもあった。
そんな彼女が、フランスを越えて世界でブレイクするのが、
1993年、当時人気絶頂のレニー・クラヴィッツが全面プロでユーズした作品「ヴァネッサ・パラディ」を発表。
はじめて英語で歌う彼女の鼻にかかる舌足らずな歌声は、
レニー・クラヴィッツが作り出した、60-70年代ロック・サウンドに乗って、世界各国で1位を獲得する、傑作だと思う。
ロリータ・ポップでありそうで、そうでもなく、ガールズ・ロックでありそうで、そうでもない。
イギリス人のジェーン・バーキンが、こころもとないフランス語で、ゲンスブールと、「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」(もともとは、ブリジット・バルドーに歌わせていた)は、
まさに、フランス語なまりで英語を歌うヴァネッサ・パラディと、ちょうど逆の組み合わせだが、おなじような、あぶなげで、はかなげな雰囲気が漂っていたのかもしれない。
一次は、レニー・クラヴィッツとの関係も噂された恋多き小悪魔、ヴァネッサは、いつのまにか1998年から、ジョニー・デップのパートナーとして、99年に長男を、2002年に長女を出産していたらしいが、このたび正式に籍を入れたようだ。
このへんの経緯は、むしろ映画ファン、ジョニー・デップのファンのほうが詳しいと思うが、出演作品を吟味し、演技派、個性派として実力のあるジョニー・デップの妻となったことに、ぼくはちょっとなるほどなぁ、という感想をもった。
2004年にはSFパニックサスペンス作品『エイリアンVSヴァネッサ・パラディ』で映画に復帰したそうだが(ぼくは、この映画を観ていない)、映画のサントラ盤でも歌っているので、正確には今回のCDが復帰第1作ではないが、
新作「Divinidylle(神々しき純愛)」は、今年もうすぐ35歳になる彼女が、今でも、少女時代とおなじ小悪魔的な魅力と異彩を放っているのは見事だと思う。
収録曲は
1 Divine Idylle 絶世の恋
2 Chet Baker チェット・ベイカー
3 Les Piles レ・ピル
4 Des Que J'Te Vois デ・ク・ジュトゥ・ヴォア
5 Les Revenants レ・ルヴナン
6 Junior Suite ジュニア・スイート
7 L'Incendie ランサンディ
8 Irresistiblement イレジスティブルモン
9 La Bataille ラ・バタイユ
10 La Melodie ラ・メロディー
11 Jackadi ジャッカディ
12 I Wonldn’t Dare アイ・ウドゥント・デア
12 Emmenez-Moi 世界の果てに
1曲目の「絶世の恋」では、彼女の小悪魔的フレンチ・ロリータ的、ロリータ・ポップ満載のサウンドと歌声。
少女のような鼻からぬける声。サウンドもノリのいい、ポップス。
2曲目は、大人になった彼女の低音のちょっとハスキーな声をはじめて聴かせる。
ちょっとけだるい、大人の女、かと思っていると、また小悪魔少女的な声が姿をあらわす。
10曲目の「ラ・メロディー」は、レゲエ調。
12曲目の「アイ・ウドゥント・デア」は英語の歌詞。
ギター・サウンドやオルガン・ロックがバックで炸裂する曲もあれば、アコースティックな曲もある。
アルバム全体を通して、ポップでありながら、多彩なサウンドで、
ロックであるかと思えば、その枠に収まらないサウンドだ。
しかし、決してフレンチ・ロリータのように軽い曲調ばかりではなく、
この辺は、レニー・クラヴィッツにプロデュースされた時のように、トータル・サウンドとしても完成度が高い。
舌足らずで、鼻にぬける甘え声と、ちょっとハスキーな声、
少女でも熟女でもない、本当に不思議な存在感。個性。
これから、音楽活動を本格化するのかどうかは分からないが、
秀作CDとともに戻ってきてくれたのは本当に嬉しい。
セルジュ・ゲーンズブール、レニー・クラヴィッツ、ジョニー・デップと個性的で、実力があり、ちょっとあぶなげな男性を渡り歩いてきた彼女。
これからも、怪しげな魅力を発し続けて欲しいと思う。
オススメです。