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ラスタ・パスタのレレ日記

2008年02月17日
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テーマ:洋楽(2589)
カテゴリ:音楽:ライブ
その1から続く



場内に、オーケストラのメンバーが入ってきた。
東京ニューシティ管弦楽団だ。
ヴァイオリン、チェロ、ホルンなどホーン楽器がそろっている。
バカラックのバンドのメンバーもいるようだが、まだステージ上が暗くてわからない。

ボーカルの3人がステージ向って右手から出てくる。
黒人女性2名と白人男性1名。

ついに、ステージむかって左手から、バート・バカラックが出てくる。
スポット・ライトがあたる。

グレーのジャケット・スーツに、襟元を少し開けた白いシャツ。
足取りは、少しおぼつないかな、という感じだが、
客席に深くお辞儀をして、ステージ前面ど真中にあるグランド・ピアノの椅子に座った。

バカラックが、いきなり合図を出し、1曲目の「世界は愛を求めている」をオーケストラが演奏開始、バカラックもピアノを弾く。

するどく、リズムを指示。
おぼつかないとおもわれた足取りが、指揮をとりはじめたとたん、
シャキ~ンとなった。
カッコいい指揮。

わ~、全然、元気じゃないか!

それから、前のページで紹介した、壮大な40曲のバカラック音楽の世界が始まった。

そもそも、これだけの曲をやれるほど、ヒット曲の数が多いというのは、大変な驚きだ。しかも2時間超のステージでは、全曲フルバージョンでは紹介しきれないので、メドレーの連続。

自分の曲だけで、こんなステージを構成できるなんて、なんて幸せな人なんだろう。
1950年代から2008年まで、50年間以上にわたるヒット曲の数々。まず、そのメドレー攻勢に圧倒された。
しかも、すべて、バカラック節ともえる、美しいメロディの曲のオンパレード。

見どころ、聴きどころは随所にあったが、
ただただ、美しい曲のメドレーに圧倒されたあと、

やっぱり、まず盛り上がったのは、

「遥かなる影(They Long To Be) Close To You」だ。

カーペンターズによる、カヴァーは、兄のリチャードによる編曲もよくて、これはこれで名演・名唱なのだが、

オリジナルのバカラック盤は、イントロのピアノが少し、悲しい雰囲気で始まった。
曲が「Close To You」とわかった客席から、はやくも大きな拍手が。

黒人女性の2人のボーカルが交互にメロディを歌い、ハーモニーをつける。
ぼくも、そして観客の多くも、、おもわず一緒に歌詞を口ずさんでしまった。

次のハイライトは、バカラックの次のMCから始まった。

「Motion Pictures(映画)、私は映画とは縁が深い。
作曲もしたし、オーケストラの指揮もしたし、歌ったりもした。
そして、出演さえしたんだ。

『オースティン・パワーズ1,2,3』

場内から、楽しげな笑い声と拍手が。

そう、あのイギリス製作(3はハリウッド製作)のおばかスパイ映画
『オースティン・パワーズ』に、バカラックは、チョイ役というか、バカラック自身として出演しているのだ。

この映画出演と、エルビス・コステロとの共演アルバムを通して、ここ10年、バカラック再評価の流れが出来、そのピークに彼は日本に再びやってきてくれたのだ。11年ぶり、80歳の年齢で。

さて、そのMCのあと、バカラックは、映画音楽メドレーの中で

「恋の面影:The Look Of Love」を自ら歌ったのだ。

もう、しわがれて、大きな声が出ないのだが、そのしわがれて少しよわよわしいが、それでもちゃんとした歌声は、それが魅力となって、場内の観客をしびれさせた。

続く「ニューヨーク・シティ・セレナーデ(クリストファー・クロスの歌で有名)、白人男性ボーカルのうたde,80年代を彷彿とさせるサウンドで盛り上げ、

「雨にぬれても」で、再び、バカラックが歌った。

バカラックの曲は長い間、沢山聴いてきた。
しかし、本人の生の歌声をこうして聴くのは生まれて初めてだ。

素晴らしいなあ。80歳になってもこうして現役で、歌を歌い、
オーケストラ用に曲をアレンジし、指揮をし、
大観衆の前でピアノを弾いている。

次の見どころ、聴きどころは、
バカラックの曲をカヴァーしたアルバムを2007年、2008年と続けてリリースした、オランダの歌姫、トレインチャ(Traincha)の登場だ。

彼女が、2曲
「Falling Out Of Love(アレサ・フランクリン2003)」と

自分の最新アルバム『バカラック・ソングブック2』のために、バカラックが書き下ろしてくれた

「Who'll Speak For Love」
を歌ってくれた。

ボーカル陣の3名は、歌はうまいのだが、いま一つ、バックコーラスがうまい人が、時々、メイン・ボーカルになる、という感じだったのと、

「ディオンヌ・ワーウィック、とまではいかなくても、誰か今売出し中のわかい女性ボーカルを連れてきてくれないのかな」と思っていたので、
トレインチャの登場は、サプライズであるとともに、嬉しかった。

ぼくは、彼女のことを、この日のコンサートまで知らなかった。

あるとすれば、アメリカ人の黒人女性の若手有望歌手をつれてくるかも、
と思っており、期待もしていたのだが、

バカラックが連れてきたのは、オランダ人の白人女性だったのだ。

それも、彼女が、最初のひとことを歌いだしたその時、バックボーカルの3名とは、やはり声の出かたが違うな、という新鮮な驚きがあった。

しかも、タイプは全然違うし、誤解されても困るのだが、
若い時の、ホイットニー・ヒューストンが出していた張りのあるシャープしそうな高音の残響を連想させるというか、その部分だけは、ほんとうに85-87,88年ごろの彼女の声に似ているのだ。

もちろん、ホイットニーの歌のベースは教会で歌ったゴスペル、その後の彼女の声は、もっと低音のどすが利いた声まで出すようになるのだが、
デビューしたてのホイットニーの隠しようもない、若々しい高音の声。
これににた声をトレンチャは持っている。

不思議な縁だが、バカラックと長年、コラボしてひとつのラヴ・ソングの形を一緒に作った、ディンヌ・ワーウィックは、ホイットニー・ヒューストンのおば(親戚)なのだ。

ぼくは、ディオンヌの若い頃の生の声を知らないが、
もしかしたら、バカラックは、トレンチャの声に、
ディオンヌ・ワーウィックの影をみていたのかもしれない。
とっても掘り出し物の女性アーティストに出会った気がした。


さて、コンサートは(ライブというよりコンサートと言ったほうがふさわし)、終盤にきて、また素晴らしい展開をみせる。

「アルフィー」の歌、演奏から、サックスの演奏が
「A House Is Not A Home」に展開していく。

「A House Is Not A Home」は、先日、ロナルド・アイズレーの「バカラック」アルバのム時にも書いたが、ルーサー・ヴァンドロスが80年代にカヴァーしたバージョンが大好きなぼくなのだが、

さりげなく、曲がそこへ展開していくのに喜んだ。

前半、中盤は、バカラックが連れてきたバンドのサックス奏者とトランペッット・フリューゲル・ホーン奏者は、オーケストラのストリングスの音にあわせて、ミュート気味に音色優先で音量を抑え目で演奏していたのだが、

終盤にきて、まるでビッグバンド・ジャズのように、ドラムスはばかすかたたくし、ペットとサックスが大音量で吹きまくる、という場面から、
しずかにバカラックのしわがれ声がはっきりきこえるように、全体のサウンドが静かになる、という強弱の展開を見せ始めた。

それも、けっしてわざとらしくなく、ごく自然な展開だ。
バカラックのアレンジの妙と、サウンド・エンジニア、ミキサーの腕がいいのではないだろうか。

こうして、最後の曲
「愛のハーモニー」へと突入する。

前にも書いたが、1986年に、エイズ撲滅基金へのチャリティとして、
ディオンヌ・ワーウィックが、、グラディス・ナイト、
スティービー・ワンダー、エルトン・ジョンと
4人で歌ったこの曲。

女性パートは、黒人女性が交互に歌ったが、
白人男性は、ひとりで、エルトン・ジョンとスティービー・ワンダーのパートを熱唱していて、素晴らしかった。さぞ、大変だったとは思うが、とてもいい歌いっぷりであった。


1回目のアンコールには、すぐに応えたバカラックだったが、

一度、ステージをおりて、場内の大拍手に迎えられてもう一回、アンコールに出てきたときは、

まず、「昔書いた、30秒の曲をやります」と言って、
ぺろぺろぺろ、とピアノを弾きながら、歌ったが、

本当に、最後の曲は、「みなさん、一緒に歌ってください」

といって、「雨にうたえば」をもう一回やった。
観客も、ぼくも、ところどころわからない歌詞がありながら、みんなが大合唱と手拍子をした。

最後にバカラックもバンド・メンバーもオーケストラもステージをおりるまで、
暖かい、暖かい拍手が鳴りやまなかった。

東京国際フォーラムA(一番ひろい会場)のおおきな空間は、
優しさと暖かさと愛のつぶつぶが、見えるような、そんな雰囲気に包まれていた。

ほんとうに、ハートウォーミングな心がいっぱいの空間だった。


今朝、とくダネ!で、小倉さんが

「もう、ぼくは泣いてしまいました。ああいう80歳、ああいう歳のとり方をしたいね」と言った。

同感だ。

ニュース23、金曜深夜便で、「これからの夢は」ときかれたバカラックは、

「私の夢はいまやっていることです。
これをやっていたい、思えなくなる日がくるまでは、
もう少し、このままやっていきたい」

という、謙虚な言葉を述べていた。

謙虚でもあるし、ようするに、死ぬまでずっと、
生涯現役で、ということを、

ひとつも力むことなく、さりげなく表明したのだと思う。

彼は、音楽を愛し、音楽を愛する人を愛し、
そして、その才能を神から祝福され、

しかし、これまでおさめてきた大きな成功におごり高ぶることなく、
神に敬意を表し、神に感謝している。

そんな気がした。

バート・バカラックさん、
これからも、ずっといい音楽を僕たちのために作り続けてください。
これからも、ずっと。






最終更新日  2008年03月07日 17時41分40秒
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