カテゴリ:中国・韓国・アジア
シンガポールでの話しに戻りますが、
シンガポールでは、男性は19歳になると2年間の兵役があるそうです。 しかも、それだけではすまなくて、40歳になるまで毎年、1ヶ月(だったかな)の兵役があるそうです。 これには、全く例外が認められていません。 韓国のように、オリンピックでメダルをとったとか、アメリカなどの大学院で優秀な成績を収めた場合には、兵役免除がありえる、というのとは全く状況が違うようです。 まず、なぜ、40歳まで毎年あるかといえば、シンガポールの人口は、たかだか450万人、半分は女性、かつ少子化、19歳の若者だけを兵役にとっていたのでは、軍が維持できないからだそうです。 それから、シンガポールの軍の命令、コマンドは、マレー語だそうです。 ですから、中国系の人は、マレー語のコマンドを覚えなければいけません。 ところが、シンガポールの仮想敵国は、マレーシアなんだそうです。 これは、シンガポールがマレーシアから1965年に独立した、という経緯からだそうですが、 一方で、やもすると日々の生活水準の高いシンガポール人が、全く危機感が無くなるのをおそれて、兵役制度を続けている、という側面もあるかもしれない、とも言っていました。 マレー語が軍での共通言語。でも、仮想敵国はマレーシア。 もし、本当に戦争になったら、シンガポールのマレー系住民は、同じ民族のマレーシア側について、反対にシンガポールに銃を向けるかもしれない。 ということで、シンガポールの軍隊では、絶対にマレー系シンガポール人を高いランクにはあげないそうです。 一方、警察や消防などには、マレーシア系住民を多く登用する、というへんてこりんなことをやっています。 警察の拳銃では、シンガポールを乗っ取られないが、軍の指導部にマレー系シンガポール人がいては、いざ、戦争の時に逆襲されるかもしれない、ということなのでしょうか。 さて、この兵役期間中の軍事演習ですが、シンガポール1ヶ国の領土では、国土が狭すぎて訓練にならないので、(軍事訓練用の島はあるようですが) 軍事演習を他の国と共同でやるそうです。 それは、タイ、台湾、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなどだそうです。 これをちょっと考えると、アメリカの海のシーレーン、 日本、韓国、台湾、オーストラリア、ニュージーランド、インドなどと連携して、中国を封じ込める軍事戦略にのっかているように見えますが、それとは関係なく、各国と、個別に連携しているそうです。 シンガポールにとって、中国は脅威ではなく、ビジネス・チャンスの国だ、ということだそうです。 でも、やっぱり共同演習している国をみると、公式には否定しても、非公式には、中国脅威論があるのではないかと、かんぐりたくなってきます。 そのへんは、シンガポールの政府の人間にでも聞いてみなければ、よくわかりません。 で、話を19歳からの兵役による軍事演習に戻すと、 熱帯のキャンプ地で、毒蛇やさそりにさされて命をなくしたり、 軍事兵器の誤作動や誤爆などで、指を切断したり、命を落したりする人が毎年いるようです。 徴兵に免除がない、例外を認めないため、優秀な若者が毎年、命を落すことも多く、 ぼくが、バンコクへ移動する前に、シンガポール最大の新聞ストレート・タイムス紙に、 息子が兵役で命を落とした父親の嘆き哀しむ写真とともに 「It doesn't make sense」 という見出しで、記事が出ていました。 どこの国とも、戦闘状況にあるわけではない、 平和で豊かな国、シンガポールの、悲しい側面、 考えさせられずにはいられません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[中国・韓国・アジア] カテゴリの最新記事
|
|