ローリング・スローンズ・プロジェクト♪
ストーンズやビートルズをカヴァーしたアーティストやCDは多いが、ジャズで、これだけストーンズをカヴァーした例ははじめてなのでは。しかも、そのプロジェクトの張本人は、ストーンズの世界ツアーに参加しているサックス奏者、ティム・リーズ。Time Riseの『The Rolling Stones Project』 ツアーの合間の空き時間を使って、さまざまなアーティストおよび、ストーンズのメンバーまで一緒に録音しているのだ!例えば、1曲目「(I Can’t Get No) Satisfaction」 では、ジョン・スコフィールド がギターで参加。今や、ジャム・シーンの重鎮でもあるジョン・スコのうねうねしたクールでカッコいいギター・ソロが聴かれる。2曲目の「Honky Tonk Women (organ trio)」 では、オルガンとテナー・サックスに、なんと、ストーンズのチャーリー・ワッツ その本人が、ドラムスをたたいた、オルガン・トリオ・ジャズを展開している!チェーリー・ワッツは、ストーンズの活動以外に、自分のビッグバンド・ジャズの活動をしているとはいえ、これは驚きだ。3曲目の「Slipping Away」 では、ストーンズのキース・リチャーズ と、ロン・ウッド がギターチェーリー・ワッツがドラムス。、それに、ここずっとストーンズのツアー・メンバーで定着している、ベースのダリル・ジョーンズ。バック・ボーカルは、キースとシェリル・クロウ 。これは、もう、ミック・ジャガー抜きで、ストーンズがストーンズのジャズ・カヴァーをやっているということに、ほとんど近い!!5曲目の「Wild Horses」 では、ビル・フリーゼンがギター、ノラ・ジョーンズ がボーカル。ノラ・ジョーンズのスモーキーでけだるいボーカルが、また素晴しい。もちろん、全曲、ティム・ライズがサックスを吹いているのだが、これは、彼のアルバムでありながら、それを超えたレベルの、非常に刺激的で質の高いジャズと言っていいと思う。このほか、チック・コリアのアコースティク・バンドやエレクトリック・バンドで有名になった、ジョン・パティトゥッチ がベースで参加した曲や、ルーサー・ヴァンドロス のバックでも歌い、ストーンズのバック・ボーカルでも何度も来日しているリサ・フィッシャー参加の曲もある。そのほか、バーナード・ファーラー(キーボード&バック・ボーカル)など、一流ミュージシャンが参加。そして、このCDの最大のハイライトは、9曲目の「Honky Tonk Women」 ティムのサックスからはじまって、リサ・フィッシャー のハミングとボーカルというかセクシーなボイスが響く。そこに、あの、おなじみのギターのリフが入ってくる。キース・リチャーズだ!!ベースはダリル・ジョーンズ、ドラムスはチャーリー・ワッツ。サックスがメロディを吹く。バック・ボーカル的に♪It's the honky tonk women Gimme, gimme, gimme the honky tonk blues.♪ 曲名のサブタイトルに(Keith’s Version)とあるように、まさに「Honky Tonk Women」のキース・リチャードのバージョン。そのギターのリフがやっぱりカッコいいのだ。キースのギター・ソロが続く。ジョン・スコフィールドのように、流麗にうねうねギターは弾けなくても、キースのギターのリフは、もうそれを一発聴いただけでも、ノックアウトものの凄さがある。 ♪It's the honky tonk women Gimme, gimme, gimme the honky tonk blues.♪ピアノ・ソロが入る。♪It's the honky tonk women Gimme, gimme, gimme the honky tonk blues.♪ボーカルとサックスが交錯する。9曲目の「Honky Tonk Women」 と、1曲目の「(I Can’t Get No) Satisfaction」 は、やはり、このCDの一番の聴き所だ。そのほか、「Riby Tuesday」「Gimme Shelter」 など名曲のジャズ・ヴァージョンが続く。はたしてこのCD,ストーンズ・ファンとジャズ・ファンのどちらに支持されるか。ミック・ジャガー抜きの、ストーンズによるストーンズのカヴァーとしても聴けるし、ストーンズのジャズ・ヴァージョンとしても楽しめる。ちなみに、録音は、New York, カリフォルニア、ニュージャージー、ミュンヘン(ドイツ)、New York(最初とは違うスタジオ)で行われていて、まさに、ストーンズのツアーの合間にレコーディングされていた様子が分かる。まずは、一聴をオススメします☆