詩編121編《山に向いて目をあぐ》【はじめに】 人生は天国を目指す巡礼の旅にたとえることができるでしょうか。この地上のさまざまな出来事は主イエスに出会うまでの恵みに満ちた旅行の体験なのです。昨日のような大嵐のような日もあります。でも主にある生涯はいつも祝福に満ちた勝利の生涯なのです。 【テキストの解説】 詩篇の中で「都もうでの歌」と言われる一連の詩篇があります。今日与えられている120篇から134篇までの詩篇です。「都もうで」というのは「上りの歌」と記されておりだいたい3通りの解釈があります。(1)年一回のエルサレム上京を歌った巡礼歌。(2)異国バビロンの捕囚の民がエルサレムへ上る歌。(3)エルサレムの神殿の婦人の庭から男性の庭への階段(15階段ある)で歌われた聖歌集。神様によって祝福された人生歌集とでも呼ぶべき詩編です。この詩篇121篇は「都もうでの歌」の2つ目の歌です。この詩は印象的な冒頭の聖句によって多くの聖徒に愛されてきました。前後関係から見るとこの詩は「巡礼の旅を守られる神」への深い信仰を歌っているものと見ることが出来ます。 【メッセージのポイント】 1) 1 【都に上る歌。】 目を上げて、わたしは山々を仰ぐ。 わたしの助けはどこから来るのか。 2 わたしの助けは来る 天地を造られた主のもとから。(1-2節) ⇒ 山に向かいて目をあげよ! この詩人は今、巡礼の旅に出ています。あるいは出発しようとしています。彼は自分を取り巻くさまざまな危険や障害を思い浮べて主に祈っています。 彼は巡礼の最後の目的地、シオンの山を見上げています。あるいは自分の巡礼を阻む大きな困難の山に目を向けているのかもしれません。しかし、いずれであっても彼はその山に向かって目を挙げつつ、この山を創造されたお方、また山を越えて天と地とを造られた方に目を向けているのです。わたしどもの生涯はこの全能のお方に目を向けるところから本当の生き方が始まるのです。 2) 3 どうか、主があなたを助けて 足がよろめかないようにし まどろむことなく見守ってくださるように。 4 見よ、イスラエルを見守る方は まどろむことなく、眠ることもない。 5 主はあなたを見守る方 あなたを覆う陰、あなたの右にいます方。 6 昼、太陽はあなたを撃つことがなく 夜、月もあなたを撃つことがない。 7 主がすべての災いを遠ざけて あなたを見守り あなたの魂を見守ってくださるように。(3-7節) ⇒ 主はあなたを守る者、あなたをおおう陰! 3節からは詩人は神の守りという主題を歌います。神様は天と地とをお造りになった全能のお方、この世界の主権者であられます。しかし、さらに重要なことは神様が虫に等しいようなわたしどもに関心を寄せ、豊かな愛情をもって、歩む道を守ってくださるという事です。神様はわたしどもの愛の父なのです。「あなたの足の動くのを許されない」、「まどろむことなく、眠ることなく」あなたを守ってくださるお方なのであると歌うのです。何という深い信頼がそこにあることでしょう。更に、新約聖書にはわたしどものために十字架にまでかかられる神様が明瞭に示されています。 3)8 あなたの出で立つのも帰るのも 主が見守ってくださるように。 今も、そしてとこしえに。 ⇒ 主はあなたの出ると入るとを守られる(8節) この詩の最後は「太陽の炎熱、月の厳しい照射による病気、全てのわざわいから主は守ってくださる」であろうとの信仰告白で終わります。特に「あなたの出ると入るとを守られる」との言葉でこの賛美を閉じます。 かつてアフリカの探検家であり、伝道者であったリビングストンは、死を賭してかつての暗黒大陸に出発しました。彼はその出発の際にこの詩篇を読んで神に熱き祈りを捧げて雄々しく立ち上がりました。主が彼と共にいて彼の生涯を祝福し、多くの実を彼に与えたのでした。 【結論】 わたしどももこの詩人のように、リビングストンのように、代々の聖徒たちのように自分の馳せ場を雄々しく走り、主の栄冠を得ようではありませんか!ハレルヤ |