2021/05/13(木)22:22
アンネの日記~友だちを想う
1943年12月30日 木曜日
そしてまたハンネリは? まだ生きているでしょうか。いまどうしているでしょうか。神様、どうか彼女を護って、ぶじにわたしたちのもとへ連れもどしてあげてください。ハンネリ、わたしはたえずあなたの立場に自分を置いてみます。あなたの立場だったら、どんな運命に出あっていただろうかを考えます。なのに、たびたびここの暮らしをみじめに思ったりするのはなぜなのでしょうか。ハンネリや、彼女とおなじように苦しんでいる同胞の身を思いやるとき以外は、どんなときにも感謝の心を持ち、満足と、幸福とを噛みしめるべきではないでしょうか。私は利己的で、卑怯者です。(中略)これだけ恵まれていても、まだ神様を信ずる心が足りないからでしょう。神様は多くのものをーーわたしがとうてい受ける資格のないものを与えてくださっているのに、わたしは依然として毎日のように、多くの過ちを犯しつづけているのです。同胞の人たちのことを考えると、ただ泣きたくなります。一日じゅうでも泣いていたいくらいです。いまできることは、神様におすがりして、奇跡を起こしてくださるように、そして不幸な人たちをすこしでも救ってくださるように、そうお願いすることだけ。それだけはいまでも十二分にやっているつもりです。 227~228頁
1944年1月6日 木曜日
ハンネリはわたしにとって、わたしの親しいひと全員、ユダヤ人全員の苦難の象徴のように思えます。ですから、彼女のために祈るときは、全ユダヤ人のため、苦しんでいる人たちみんなのために祈っているんです。 238頁
(アンネが祈っていた友だちハンネリは救出され、アンネは死んだ)
「アンネの日記・完全版」アンネ・フランク 深町真理子訳 株式会社文藝春秋©1994