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2005.02.03
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こんちくは。

昨日からの続きです。

あの判決で、ジャストシステムの株価が前日比ストップ(100円)安の500円でした。
1件の特許が株価を左右する。
これからは、「特許を読めば株が読める」がはやるのでしょうか(冗談)。



回避策を検討しました。

松下電器とジャストシステムの争いは、今回の事件のみではなく、密接に関連するものがもう一つあります。

それは、
「H16. 8.31 東京地裁 平成15(ワ)18830等 特許権 民事訴訟事件」(以下、「家計簿事件」といいます)
です。

今回の事件は、
「H17. 2. 1 東京地裁 平成16(ワ)16732 特許権 民事訴訟事件」(以下、「一太郎事件」といいます)
です。

家計簿事件は、侵害していないと判断されました(ジャストシステム側が勝ち)。
一太郎事件では、侵害していると判断されました(松下電器産業側が勝ち)。

それにもかかわらず、この2つの事件、かなり似ています。
(1)当事者は同じです。原告と被告の立場は異なります。家計簿事件では、本訴原告がジャストシステム、本訴被告が松下電器産業。一太郎事件では、原告が松下電器産業、被告がジャストシステムです。
(2)争いとなっている特許は同じです。特許番号  第2803236号。
(3)争点は、以下の通り。
 ・家計簿事件の争点
  (A) 本件製品をインストールしたパソコンに表示される「?」ボタン及び「表示」ボタン等は,本件各構成要件にいう「アイコン」に該当するか。
  (B) 間接侵害(特許法101条2号,4号)が成立するか。
  (C) 本件特許に無効理由が存在することが明らかか否か。
 ・一太郎事件の争点
  (A) 被告製品をインストールしたパソコンに表示される「ヘルプモード」ボタン及び「印刷」ボタンは,本件各構成要件にいう「アイコン」に該当するか。
  (B) 間接侵害(特許法101条2号,4号)が成立するか。
  (C) 本件特許に無効理由が存在することが明らかか否か。
(4)裁判官の3人のうち、2人は同じです。裁判長は同じです。
(5)家計簿事件の後、わずか5か月後に一太郎事件の判決です。その間に、一太郎事件の判決に影響を与えるような、法改正、判決はありませんでした。


なお、(4)は、裁判結果に何ら影響を及ぼすものではありません。同一人格による判断だということから2つの事件の違いを強調するためのものです。


さて、何が違うかというと、対象物件が違います(当たり前ですね)。家計簿事件では「ジャストホーム2家計簿パック」であり、一太郎事件では「一太郎」「花子」です。

この争点の中で、1番目の「アイコン」について、興味深いことがわかりました。

判決の中で「アイコン」の定義について論じています。その際、請求の範囲、発明の詳細な説明、出願当時の技術文献を根拠に論じています(この方法は、オーソドックスです)。

そして、「アイコン」の定義について、以下の通りです。
・家計簿事件では、
「本件発明にいう「アイコン」とは,「表示画面上に,各種のデータや処理機能を絵又は絵文字として表示して,コマンドを処理するもの」である」。
・一太郎事件では、
「本件発明にいう「アイコン」とは,「表示画面上に,各種のデータや処理機能を絵又は絵文字として表示して,コマンドを処理するもの」であり,かつそれに該当すれば足りるのであって,本件明細書の記載によっても,本件特許出願当時の当業者の認識においても,それ以上に,ドラッグないし移動可能なものであるとか,デスクトップ上に配置可能なものであるなどという限定を付す根拠はない」。

違いが分かってもらえたでしょうか。
一太郎事件の定義は、家計簿事件の定義の文言をそのまま含んでいます。
そして、その家計簿事件の定義だけでよいとしています。つまり、ドラッグ等できなくても「表示画面上に,各種のデータや処理機能を絵又は絵文字として表示して,コマンドを処理するもの」であればアイコンであるとしています。

そして、家計簿事件では、
「「?」や「表示」は,表示画面上にあり,処理機能を表示しているものの,デザイン化されていない単なる「記号」や「文字」であって,絵又は絵文字とはいえないことは明らかであるから,本件各構成要件における「アイコン」には該当しない」
としています。
つまり、アイコンではないと判断しています。

一太郎事件では、
「「ヘルプモード」ボタン及び「印刷」ボタンは,表示画面上に,各種のデータや処理機能を絵又は絵文字として表示して,コマンドを処理するものである。よって,被告製品の「ヘルプモード」ボタン及び「印刷」ボタンは,本件発明における「アイコン」に該当する」
としています。
つまり、アイコンであると判断しています。

ジャストシステム側は、「アイコン」は,「デスクトップ上」へ配置可能なことが必要と主張(家計簿事件の定義に更なる要件が必要であるということ)しましたが、認められなかったということです。

これが、2つの事件を分けた分水嶺ということになります。

「アイコン」の定義が、請求の範囲、発明の詳細な説明、出願当時の技術文献を根拠にしている以上、一太郎事件で家計簿事件の定義を変更しようとするのは困難です。

とすると、家計簿事件の判決の時から、今回の一太郎事件の結論は暗示されていたのかもしれません(まったくの後講釈です)。


続きます。次回は、回避方法についてです。

なお、このブログでは、家計簿事件、一太郎事件ともに、論理的展開という技術論のみを対象にしています。興味対象は、論理のみです。



「今宵はここまでにいたしとうござりまする」(流行語大賞 1988年 流行語部門・金賞)

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最終更新日  2005.02.03 11:50:24
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