みんなの好きな金の延べ棒金の延べ棒を触ったことがありますか?私は実際には触ったことはないのですが、およそどういう感じなのかは想像することはできます。 持って逃げようとして、金の延べ棒を掴んでみるとびっくりすると思います。 あまりにも重いからです。 女性の方では片手で持ち上げるのは非常に難しいと思います。大人の男性でも、一本目を片手に持って、残る片手でもう一本を持ち上げるのは、これまたかなり難しいと思います。 金の延べ棒は1本がだいたい30kgあるからです。 元素としての金は、どこから来たのでしょうか? 今から150億年ほど前に宇宙はビッグバンにより開闢したと考えられています。 その当時は、宇宙には、水素やヘリウム等の軽い元素しかなかったことが分かっています。 宇宙に輝く星のスペクトルを調べることにより、その星に含まれる元素の種類を知ることができます。 光の速度は有限ですので、地球から遠くの星を観測すると、過去の宇宙の状態を知ることができます。実際、100億光年以上離れた星のスペクトルを調べてみると、100億年前の宇宙の状態を知ることができます。この様にして、地球から遠くの星のスペクトルを調べてみると、遠くの星、すなわち過去の星は軽い元素のみから出来ていることが分かります(200万個の星を実際にしらべたうちの23個のデータです。)。 太陽の内部でも水素が核融合を起こしてヘリウムができますが、太陽の温度ではヘリウムを作り出すのが限界です。将来、太陽が大爆発を起こしたとしても、この程度ではエネルギーが小さすぎて「元素としての金」は生成されないと現在では考えられています。 では、元素としての金はどこから来たのでしょうか。 太陽の様な星の内部では水素が核融合を起こしてヘリウムが生成しています。水素がなくなると、今度は星の中心温度が上がって2億度に到達したときにヘリウムが核融合を始めます。この結果、炭素、酸素等が生まれてきます。 核融合では、鉄より重い元素は生成してきません(なお鉄が生まれるのは星の温度が50億度以上になってからです。)。 星がある一定以上の質量を持っていると、急速に内部の原子を燃やし尽くして最後には大爆発する時を迎えることになります。 この瞬間に、初めて鉄より重い元素が生成してくると考えられています。 爆発後の星の残りの部分は元の星の質量に比例してその形態が変わります。太陽の10倍ほどの星ですと、その残りの部分は中性子星(中性子からできている星)になります。太陽の30倍ほどの星ですと、その残りの部分はブラックホールになると考えられています。 「元素としての金」が生成するのには、中性子星同士が衝突・爆裂したときに匹敵するエネルギーが必要であるとのことです。 元素としての金の生成には中性子が必要であることも考えると、中性子星同士の衝突・爆裂が金の生成の原因であると考える学者もいます。 今から百数十億年前は、宇宙も今ほど膨張していませんので体積も小さくて環境的に互いにシャッフルされやすく、かつその環境の中で誕生した大きな星は内部の燃料を急速に燃やすため非常に寿命が短かく、ばんばん爆発していたと思われます(星の寿命はその質量の2.5乗に反比例します。)。 一つの仮説ですが、太陽よりも何十倍も大きな星がばんばん爆発して、そのエネルギーにより元素としての金が生成したと考えられています。そして爆発により元素としての金は宇宙中に吹き飛ばされて行きました。その結果として太陽系まで「元素としての金」が漂い流れて来たと考えられています。 元素としての金だけではなく、我々の人体を構成している元素の多くはこの様な星が爆発した後の残骸に由来しています。 現在地球に存在する元素の比率と、宇宙に存在する星に含まれる元素の比率とを比較すると、地球に存在する元素はかなりシャッフルされていることが分かっています。 つまり、私たちの体は(もちろん今触っているキーボードやマウスも、今見ているパソコンの画面も)、気の遠くなる様な昔にそれぞれ数十もの星が爆発した後の残骸、すなわち星のかけらが集まって構成されています。 【書籍】『僕らは星のかけら』マーカス・チャウン著(マクミランランゲージハウス) 宇宙 天文 星座 星空のサイト |